松江の文化力の次世代を担う人を紹介します!
■Vol.18 来待石に恋して20年
古川(ふるかわ)寛子(ひろこ)
北海道網走市出身・松江市内在住。
平成16年から来待ストーンの学芸員を務め、来待石灯ろう協同組合の事務局としても活躍中。
大学で物理を勉強していた私が、学芸員として来待石に関わることになるとは学生時代には全く考えていませんでした。
来待ストーンの学芸員募集を見つけたのは偶然です。採用されてからというもの研究や企画に携わる中で、来待石の魅力にどっぷりとはまっていきました。
来待石の一番の特徴は、柔らかくて加工がしやすいことです。その特徴を生かした柔らかく温かみのある風合いが大好きです。
一時は全国に輸出するほど隆盛を誇った来待石ですが、今では採石ができる事業者が2社、加工販売する事業者が10社にまで減少しており、職人の高齢化も進んでいます。一度採石をやめると、採石場は荒れ、技術の継承が難しくなるため、現状に危機感を抱いています。
一方で、来待石は世界から注目され始めています。世界中に日本庭園の愛好者がいるようで、特に庭園用の石灯ろうは中国の事業者が約200基購入したほか、イギリスの事業者も定期的に購入してくれています。
また、国内ではふるさと納税の返礼品として来待石を使用した商品が好評を博しています。来待石には、ゼオライトが含まれていて、アンモニアやリンを吸収するため、水をきれいに保つことができると分かっています。その作用を利用したミニサイズのつくばいセットとバードバス(鳥のために水を張る鉢)を作成したところ、隠れた人気商品になっています。
今後は、来待石をはじめとした自然科学教育に、より一層取り組んでいきたいと考えています。こどもたちに地域の誇りである来待石の歴史や可能性を知ってもらうことで、職人になりたい、地域に住み続けたいと思ってもらうことの一助になれば嬉しいです。
問い合わせ:文化振興課
【電話】55-5517
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