健康andすくすく(1)

8／26

■3月の第2木曜日は「世界腎臓病デー」
～あなたの腎臓は大丈夫?～

▽「腎臓」ってどんな臓器?
腎臓は腰の上の辺りに左右に1つずつあり、直径10cm程度、握りこぶしくらいの大きさの臓器です。小さな臓器ですが、血液をろ過して老廃物を「尿」として体の外に排出する働きや、血圧の調整、血液を作るホルモンの分泌、骨を健康に保つなど様々な働きをしています。健康において重要な役割を担っており、まさに「肝腎かなめ」の臓器です。あなたはどのくらい知っていますか?
大切な腎臓について腎臓専門医の花田昌也先生に教えてもらいました。
腎臓の主な働き：
・体内の老廃物や毒素を排泄
・血圧を適切にコントロール
・赤血球をつくるホルモンをつくる
・ビタミンDを活性化し、骨を丈夫に

▽5人に1人が!?
腎臓病の一つに慢性腎臓病(CKD…Chronic Kidney disease)という病気があります。CKDとは、尿に蛋白(たんぱく)が漏れ出たり、腎臓の働きが健康な人の60%以下になるなどなんらかの腎障害が3か月以上続く病気です。これまでの調査では、日本には約1330万人、成人の8人に1人がCKDに該当するとされていましたが、最新の報告ではその数が約2000万人に増え、20歳以上の5人に1人がCKDであると言われています。これは新たな国民病として大きな問題になっています。

▽あなたの腎臓の状態は?
CKDは進行すると人工透析や腎移植が必要になるだけでなく、比較的軽度であっても心臓病や脳卒中などの発症や死亡のリスクとなると言われています。
CKDは早期に発見し、適切な治療を行うことで、病気の進行を遅らせたり、回復することが可能です。ですので、1年に1回は健診(検尿・血液検査)を受けて自分の腎臓の状態をチェックすることが大切です。
腎臓の働きは一般的に血液のクレアチニン濃度と年齢、性別を用いて計算する「推算GFR(eGFR)」を用いて評価します。また尿蛋白が多いほど、リスクが高くなります。ご自身の検査結果の尿蛋白とeGFRの値をCKD重症度分類にあてはめ、腎臓の状態を確認しましょう。

▽大切な腎臓を守るためには?
CKDは難しい、治りにくい病気という印象をお持ちかもしれませんが、適切な治療を行うことで、その進行を相当に抑えることが可能となってきました。CKD進行のスピードを抑えるための3本柱(薬剤、食事、生活習慣)を意識して、患者さんご自身が前向きにCKDの進行を抑えるように取り組むことが重要になります。(図1)

・図1　CKD進行のスピードをおさえるための3本柱

・薬剤
投薬を主体としたCKDの原因となった疾患の治療や血圧のコントロールなど、適切な治療と定期的な受診を続けることが大切です。

・食事
エネルギー量や各栄養素において、CKDの進行に合わせた適量がありますので、自分で判断せずに、かかりつけ医など専門家に相談することが一番の早道です。具体的な食事の目標を設定して、適度にコントロールしましょう。

・生活習慣
腎臓を守るための生活習慣では、禁煙、適度な飲酒、適切な飲水、適切な睡眠時間、口腔ケア、排便管理、適度な運動、感染予防があります。かかりつけ医だけでなく、看護師さんや薬剤師さん、管理栄養士さんなど、みんなで相談にのってくれますので気軽に声をかけてみましょう。

▽最後に
世界中でCKDに対する研究が行われ、腎臓を守るための方法がわかってきましたが、CKDの進行を抑えるために大切なことは、ご本人やご家族がCKDのことを理解し、積極的に治療に参加することです。かかりつけ医は診察をして薬を処方し、薬剤師は内服の注意点を説明し、看護師や管理栄養士は生活面の工夫や腎臓を守る食事について説明します。しかし、薬を内服したり、生活習慣や食事を改善するのはご本人やご家族の役割です。CKDの治療は期間も長くなりますので、かかりつけ医やスタッフとともに継続し、大切な腎臓を一緒に守っていきましょう。
花田クリニック　院長　花田昌也　先生

問合せ：健康医療対策課健康増進係
【電話】0855-52-7935

■CKDシールの紹介
浜田圏域糖尿病対策推進会議(浜田保健所)では、腎機能の状態をご本人自身や医療関係者が共有し、適正な薬剤処方によるCKD重症化予防を目的に、医師または薬剤師がCKDシールをお薬手帳に貼る取り組みを行っています。
対象者は、江津市および浜田市内医療機関受診者で腎機能の低下が認められるeGFR45未満の人です。詳しくは、かかりつけの医師または薬剤師におたずねください。

問合せ：浜田保健所　健康増進課
【電話】0855-29-5548