◆第5回 藻場の役割
-西ノ島町の海のゆりかご-
水産大学校で海藻の生理・生態や藻場の保全などについて研究を進めている
国立研究開発法人
水産研究・教育機構 水産大学校生物生産学科
教授 村瀬 昇(むらせ のぼる)氏
今回は、海藻が繁茂して広がる藻場の役割についてお話しします。前回までの海藻講座に掲載したツルアラメやノコギリモクは藻場を構成する海藻です。
藻場は海中で立体的な空間をつくるため、陰ができ波浪を弱めます。そのため、藻場内の海藻の葉には微小な藻類が付着し、小型の巻貝類やエビ類等が育ちます。また、それらを餌とする魚類等が集まります。魚やイカには藻場で産卵する仲間がいます。さらに、藻場内から流出した海藻が海面を漂う流れ藻は、モジャコ等の稚魚やカニ類等の生息場になります。一方、流出した海藻が海底を漂う寄り藻は、アワビ類、サザエ、ウニ類等の餌になります。このように西ノ島町でも広がる藻場は「海のゆりかご」として海の生き物の多様性を高め、沿岸漁業を支える重要な役割を果たしています。
問い合わせ:西ノ島町役場 産業振興課
【電話】08514-6-1220
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