島根中央高校カヌー部の藤倉萌さん(下口羽地区出身)が、「カヌースプリントジュニアandU23世界選手権大会」(7月17〜21日、ブルガリア共和国開催)に、ペアの部で出場します。高校から新たに始めたカヌーという競技で世界の舞台へ漕ぎ出します。
浜原ダム(美郷町)にほど近い江の川本流で、総勢約30人の部員が、約500メートルの距離を艇で往復して息を切らせていました。その中で、藤倉さんも真剣な表情で、水上でパドルを懸命に操っていました。
藤倉さんは4歳から15歳まで水泳に取り組みましたが、「伸び悩みもあって、新しい競技をしてみたかった」と心機一転で、カヌー競技に挑戦。部活では、中学校からの経験者も多く、全国大会でも輝かしい成績を残しているカヌー部の中で、経験者との差を感じることもあったそうです。
ただ、藤倉さんは、「インターハイ優勝」「世界大会出場」という大きな目標を掲げて、努力を地道に重ねてきました。「練習でも負けないという強い気持ちがある」と、顧問の堀田育子先生は評価します。
成長を実感したのは、2年生の時の鹿児島国体(10月)。「特にメンタル面で強くなれた」と振り返るように、自分に負けないという気持ちを全面に出したことで、全国規模の大会で初めて入賞できたそうです。
その後も、様々な大会で実力を発揮し、今年5月にあった島根県高校総体でも、シングル(500メートル)とフォア(同)で1位、ペア(同)では2位という成績でした。
堀田先生は、「水泳で鍛えられた持久力、本人の負けん気の強さが最大の武器。高校から始めて、ここまでの成績を出したという選手はほとんどいない」と語ります。
普段の部活動以外でも、縄跳びなどの下半身を鍛える自主トレーニングを行うなど、自身のレベルアップに余念がありません。「海外の選手は大きくパワーがある。少しでもいい成績を残したい」と、笑顔で語りました。
■カヌーについて
カヌーには、甲板の無い「カナディアンカヌー」と、漕ぎ手が座るコックピット以外を甲板で覆った「カヤック」の、大きく2種類に分かれます。
それぞれの特徴として、カナディアンカヌーは、片端に水かきの着いたパドル(舷に固定されていない一種の櫂)が使われ、カヤックは両端に水かきの付いたパドルが使用されます。
藤倉さんが主に参加しているスプリントは、水上に設置された直線コースで速さを競います。シンプルな競技内容に思えますが、瞬発力、持久力、技術、精神力が問われる競技です。
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