文字サイズ
自治体の皆さまへ

雲南病院だより

5/32

島根県雲南市

■「超音波内視鏡検査(EUS)で膵臓がんに立ち向かえ!」
内科 医長 原 拓史(はらたくし)

膵臓がんは日本で4番目に死亡者数の多いがんであり、女性漫才コンビ「今いくよ・くるよ」の今いまくるよさんが膵臓がんで亡くなられたというニュースは記憶に新しいと思います。

最近の国立がん研究センターのがん統計によると、令和元年に新たに膵臓がんと診断された人は4万3865人であり、男女ともに50代後半から徐々に増え始め、年齢とともに増加傾向となっています。雲南市は高齢化率40%を超えていることからも、他人事ではないがんの一つです。膵臓がんは全体の5年生存率が8・5%(男性8・9%、女性8・1%)とかなり予後が悪いことで知られており、下記(表1)をみると膵臓がんはステージ(がんの進行度)が悪くなるにつれ、極端に生存率が下がっており、膵臓がんの早期発見がいかに重要かが分かります。
しかし膵臓がんは自覚症状が出にくいがんであり、腹痛や黄疸(おうだん)などの症状が出て病院に行ったときには、進行した状態で見つかることも珍しくありません。膵臓がんのリスク因子としては下記のような方と言われており、これらの条件に複数個当てはまる方は血液検査や画像検査などを受けることをお勧めしています。
当院はこの4月から膵臓がんの早期発見に向け、超音波内視鏡検査(EUS)を導入し、膵臓がんが疑われた方などの検査に用いています。この内視鏡の構造としては胃カメラの先端に超音波の器械を内蔵しており、超音波内視鏡の先端を胃壁や十二指腸壁にあてて観察を行うと、これらの壁のすぐ向こう側にある膵臓を至近距離で見ることができます。この近接した状態がより詳細な膵臓全体の観察を可能にします。検査方法に関しては胃カメラを飲むのと同じようなやり方で検査を受けることが可能であり、鎮静剤や鎮痛剤などを用いて、なるべく苦痛の少ない検査を心掛けています。膵臓がんが疑われる場面においてCTやMRIなどの画像検査を行うことは重要ですが、これらの検査では指摘できない、より小さな膵腫瘍を超音波内視鏡検査(EUS)では発見することができるため、膵臓がん早期発見の糸口になりうると考えています。
※EUSは予約制です。
膵臓がんは怖いがんではありますが、市民一人ひとりが膵臓がんについての理解を深め、適切な検査と治療を受けることで、早期診断や生存率の向上が期待できます。私たち医療スタッフも質の高い医療を提供するために日々努力していきます。心配なことがありましたら、いつでも相談してください。

(表1)膵がん5年生存率

引用元:国立がん研究センターホームページ
がん診療連携拠点病院等院内がん登録2012年3年生存率、2009年から10年5年生存率公表
喉頭・胆嚢・腎・腎盂尿管癌3年初集計部位・病期別5年生存率
【HP】https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0808_1

◎膵臓がんリスクの高い方
・血縁者に膵臓がんの人がいる
・膵臓がんを発生しやすい遺伝性の持病がある
・糖尿病
・肥満
・慢性膵炎
・膵のう胞
・喫煙歴
・大量飲酒の習慣

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU