■第49回:「最近、血圧がよく下がるんですが、大丈夫ですか?」
このシリーズでは総合診療医が患者さんからいただいた質問をもとに市民の皆さんが困っている症状や疑問について解説します。
先日いただいた質問はこれです。
「最近、血圧がよく下がるんですが、大丈夫ですか」
高血圧は、人間が持っている疾患の中で最も頻度の高く、多くの方が降圧薬を飲まれて、血圧をコントロールされていると思います。血圧コントロールを適切に行うことによって、健康寿命を延ばすことができます。その一方で、あまり血圧の上下が激しいと逆に寿命を縮める可能性があります。
実は、高齢な方が降圧薬を飲み始めてすぐは転倒による骨折を増加させる可能性があります。
最近の研究では、虚弱高齢者の方に対して降圧薬を開始した初期は、転倒による骨折のリスクが2倍以上に上昇する可能性があります。特に認知機能が低下している場合はその可能性が3倍程度に上昇し、元々血圧が高い方ほど薬剤使用で転倒しやすいようです。
特に夏場は、血管が緩みやすく、脱水症状にもなりやすいため、血圧が下がりやすくなっています。
高血圧で治療中の方は、特に夏場、血圧の乱高下に気を付け、血圧がいつもよりも低くなってくる時は、かかりつけ医の先生に相談し、降圧薬を調整してもらいましょう。
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