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〈特集〉生きがいのある生活

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島根県飯南町

人生100年時代と言われる現代ただ寿命を延ばすのではなく、老後の生活を豊かに暮らしたいと考えるのではないでしょうか
今月は、90歳を超えて、人生を楽しむ女性を取り上げます

伊藤 隆子(たかこ)さん(91歳)

◆若い時とは違っても
毎週金曜日、上来島の安部音楽教室に通い、ピアノを習う一人の女性。今年91歳になった伊藤隆子さん(赤名)です。約6年間、週1回のピアノ教室でのレッスンと家での練習を欠かしません。
家に親戚からいただいたピアノがあったこともあり、60代の時にピアノを始めていた伊藤さん。亡くなった夫の博通(ひろみち)さんの介護などもあり、何年もの間ピアノから離れていたそう。
「何年も弾いてなかったけど、一人暮らしになって、なぜかもう一度弾いてみようという気になったのよ」と伊藤さん。80代での再挑戦です。
「家のピアノは音が大きくて、近所の方に聴かれたら恥ずかしいので、音の小さいキーボードで練習して、弾けるようになったら、ピアノを弾くんです」と伊藤さん。毎日、家事の合間を縫って練習を続けています。
「若い時と違って覚えても忘れてしまうし、指先も動きにくくなりました。それでも毎週、練習してきた成果を先生に聴いてもらって。褒められたいから、練習するんですよ」と笑顔で話します。

◆生きがいを感じながら
毎日の畑仕事も欠かさない伊藤さん。この日は、花を植えるための畝を作られていました。「去年は百合の花を育ててみたけど、イノシシやアナグマに全部掘られてしまった」と残念そうに話します。
ピアノも畑仕事も上手くいかないこともある中、なぜ、続けているのでしょうか。伊藤さんは「子どもたちの演奏を聴くと、早く始めていたらよかったと思いますし、上手に弾きたいと思います。畑は荒れさせたくない。田舎に嫁いできた宿命かな」と話します。
そして伊藤さんは、もう一つの楽しみを教えてくれました。「おしゃべりが楽しいんです」と笑います。
ピアノ教室で安部先生と、畑仕事の合間は近所の皆さんと。おしゃべりをしている伊藤さんに笑顔が溢れます。
「一人暮らしなので、何もせず一日テレビだけ観て過ごすこともできます。でもピアノや畑仕事があると、身体も動かすし、人と話す機会にもなって生活にハリがでます」と伊藤さん。ピアノと畑仕事、そしておしゃべりを楽しむ生活はこれからも続きます。

◆健康長寿を目指して
本町は10月1日現在で、高齢化率が45パーセントを超え、下記のグラフにあるように、今後も上昇していくことが見込まれています。
そのような現状の中、町は「地域の力ですべての町民の健康長寿をめざす」を基本理念とし、「健康(まめ)ないいなん21」を策定。町民の皆さん一人一人が、充実した日常生活を過ごし、安心で豊かな人生を送るための取組を推進しています。
また、島根県は「健康長寿日本一」を目指して、明るく生きがいを持って生活できる社会づくり、県民との協働による生涯現役社会づくりの取組を進めています。県内在住の満75歳以上で農林業やボランティア活動、地域活動、スポーツ等に現役で取り組んでいる方を対象に知事から「生涯現役証」が贈られます。
「健康長寿」―もちろん全ての方ができるわけではありません。それでも何歳になっても、自分なりの生きがいを見つけ、「生涯現役」として健康で充実した生活を送ることの大切さを伊藤さんが教えてくれました。

◆高齢化率の推移

◆皆さんの健康長寿のために
保健福祉課 石飛保健師
「自分は元気で幸せ」そう思えることが健康長寿の秘訣と言われています。その裏には、伊藤さんの暮らしに見えるように、物事を楽しむ姿勢、体を動かす習慣、その中での人と触れ合う刺激があることで脳も体も活性化される要素があるからだと思います。
コロナ禍が明け、社会が再び動き出しています。健康づくり事業もパワーアップして展開できるよう検討しています。多くの町民の皆さんの健康長寿・生涯現役につながる場を作っていきます。

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