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〈特集〉小さな一歩の原動力。不安よりもFUN(ファン)であれ。(1)

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島根県飯南町

若者、バカ者、よそ者―。そんな単語が、中山間地域を漂(ただよ)うようになったのはいつからか。
誰かが動くのを、ただ待っているだけでいいのだろうか。
待っているだけじゃ、何も始まらない。

内田有香(ゆか)さん(22歳)
島根大学教育学部社会科教育専攻地理学ゼミ(作野教授)所属。山陰の中山間地域に足を運び、地域の現状調査や「いいとこ探し」に奮闘中。馬術部に所属したり、愛車のバイクを乗り回したりするアグレッシブな大学4年生

◆今日も勃発(ぼっぱつ)「井戸端会議」
「おー、また来たんか。次はいつ来るんかいな」――。そんな声が、赤名連坦地に響きます。
「次は11月に。赤穴八幡宮のはやしこにお邪魔しようかなと思っています」と内田さん。いつもここに来ると、顔馴染みの人と道端で立ち話になるのだそう。「ひょっとしたら、昔は連坦地の至る所で、井戸端会議が勃発していたのかもしれませんね」と続けます。
少しして手元の時計を覗(のぞ)く内田さん。「あ、もうこんな時間。今日はこの辺で失礼します。次の予定があるので」とお辞儀し、この場を後に。姿が見えなくなるまで注がれる視線に、いつの間にか温かさを感じるようになりました。

◆驚愕(きょうがく)の精神「来るもの拒(こば)まず」
赤名連坦地に内田さんが現れたのは、令和5年9月。約1カ月間で、連坦地とその周辺のお宅を100件訪問。ペンとバインダーを手に、住み心地や日常生活、赤名の未来像などを事細かく聞いて回りました。
見ず知らずの大学生に、「これでもか」というほど話してくれるお宅。忙しかったのか、不安だったのか、控えめに話してくれるお宅もあったそうです。
「正直、完全によそ者の私を受け入れてくれたことにびっくりしました。まさに『来るもの拒まず』って感じ」と内田さん。「聞き取り前に、私の正体と目的をお知らせしていたとは言え、当日まで私がどんな人間か分からないですしね」と続けます。
内田さんはどんな人なのだろう。どんなことを考えているのだろう。なぜ、この地を選んだのだろう。そう感じた人が、たくさんいるはずです。
今なお、赤名連坦地に人が住み続ける理由、地域が維持されている理由は何なのか――。「それを探るのが私の卒業研究なんです」と話します。

◆発見の連続「心強い生の声」
「もともと赤名連坦地に目を付けたのは、自動運転車両『い〜にゃん号』が走っていたからなんです」と内田さん。幼い頃から、地元の鳥取県大山町で、誰も乗っていないバスが走っているのを目の当たりに。「公共交通」に関心を持つようになったと言います。
「公共交通」をテーマに研究しようとしたところ、作野教授からアドバイスが。「せっかくなら、公共交通と、地域での暮らしの2つの観点で研究してみては」というものでした。
今からおよそ100年前。赤名連坦地には、商店や旅館、病院が約70軒立ち並び、町中を歩くだけで生活に必要なことが揃っていたそうです。
交通の便が良くなり、三次や出雲に出て、買い物が可能に。町外で買った方が安いため、その流れはさらに加速。個人商店はどんどん閉店したと言います。
「どれもこれも、聞き取りで分かったこと。おもしろい発見もありました」と内田さん。令和6年3月9日(土)の「飯南ラボフォーラム」で調査結果を報告する予定です。

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