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〈特集〉きっかけは自由~狩猟への想い~

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島根県飯南町

「狩猟」―。皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。「危険が伴う」「難しそう」などのイメージを持つ人もいるかもしれません。
そんなイメージにとらわれず、狩猟をする一人の若者。
今月は、狩猟への想いを持った若者を取り上げます。

◆有害鳥獣被害や狩猟登録者数の現状
本町における令和4年度のイノシシの捕獲頭数は、平成25年の約3倍となる658頭(下グラフ(1))。捕獲頭数は増えているものの、被害がなくなることはありません。
イノシシなどの有害鳥獣による被害を抑えるため、担い手となる狩猟登録者は、なくてはならない存在ですが、全国的には担い手不足が課題となっていると言われています。
しかし、島根県においては令和4年度末の狩猟登録者数は延べ2,963人(1人で複数の免許を登録されている場合も含む)で、平成25年度末と比較して、約300人増加しています。
本町でも、令和4年度末時点での狩猟登録者は74人で、平成25年から約1・5倍と増加しています(下グラフ(2))。
ここ数年では、20〜30代で狩猟登録をする人も。若者が狩猟を始めるきっかけは何なのでしょうか。

◇飯南町の有害鳥獣捕獲頭数実績グラフ(1)

◇飯南町狩猟登録者数グラフ(2)

◆食材として獲りたい
町内の山林の獣道。有害鳥獣駆除のため「くくりわな」と呼ばれるわなを仕掛ける渡邊了介(りょうすけ)さん(町区・33歳)。2児の父であり、普段は町内の事業所に調理師として働いています。
渡邊さんが狩猟免許を取得し、狩猟登録をしたのは20代半ば。「食材となるイノシシを自ら捕獲して料理を作りたい」と考えたことが、狩猟に興味を持ったきっかけなのだそう。「猟をしてみたいというわけではなく、食材が欲しかったんです」と話します。
個人で試験対策を進め、試験に合格。最初に取得したのは「わな猟」の免許。実績を積んで数年後には「第1種銃猟免許」も取得。有害鳥獣駆除も行いながら、毎年11月15日から2月末の約4カ月間、狩猟を行っています。

◆獲るだけでは終わらない
狩猟免許取得後、初めての猟でイノシシを捕獲し、充実感を覚えた渡邊さんを、3つの問題が待ち構えていました。
最初に捕獲後の処理です。運び方、さばく場所、廃棄場所。「免許取得前の事前講習会で聞いたりしていましたが、捕獲後の処理の大変さを甘くみていたかもしれません」と渡邊さん。現在は、先輩の猟友会員からさばく場所や処理方法を聞き、対応できるように。「獲ったイノシシを乗用車で運んだこともあります。すごい臭いだったので、今は軽トラックも持っています」と振り返ります。
次に経費や備品の問題です。わなや銃の取得費用、軽トラや肉の保管用の冷凍庫など、獲るためだけでなく獲った後に必要な物も多くあります。
そして最後に、経験を積む場の確保です。「猟友会の先輩方と猟に行ける機会があればと思うのですが、仕事があるので、時間が合わないことも多くて」と渡邊さん。これらのハードルから、獲るだけが狩猟ではないことを実感すると言います。

◆「面白そう」でいい
家族がいて会社員でもある若者にとって、狩猟を始めるのはハードルが高いと感じるかもしれません。渡邊さんはこれらの問題を抱える中で、無理をしないことが大切と考え、子どもとの時間や仕事を優先しているそう。
また、現在の狩猟には、有害鳥獣から地域の農業を守る社会貢献としての実態があり、その役割を求められています。「それを理解しつつ、有害鳥獣駆除で感謝されることもあり嬉しいですし、地域へ貢献したい想いもありますが、続ける上で、大切なのは個人としてのモチベーション」と話す渡邊さん。「始めたきっかけが自分のためだったので、モチベーションを保てている」と続けます。獲ったイノシシを料理にして、子どもと食べることも続けられる理由です。
「地域貢献への想いで始めてもいいと思いますし、狩猟に対して先入観なしで『面白そう』をきっかけに、始める人が増えてもいいのかな」と渡邊さん。地域貢献のために始めても、自分のために始めてもいい。きっかけは人それぞれ。

◆狩猟を始めるためのロードマップ
狩猟を行うには、住所地の都道府県知事が実施する「狩猟免許試験」に合格し、「狩猟免許」を取得することが必要です。

講習会(5月下旬〜7月下旬)試験(6月中旬〜8月上旬)の開催日程と会場
島根県鳥獣対策室HP(本紙3ページにQRコードを掲載しています)

◇免許の種類

狩猟免許の有効期間は3年間。
3年に1回、講習と適正検査を受け、更新手続きが必要です。
問合せ:島根県猟友会
【電話】0852-22-4129

◆はじめの一歩を応援
飯南町有害鳥獣対策後継者確保対策補助金
対象者:町内に住所を有し、新たに狩猟免許を取得した(する)人
補助額:
(1)第一種銃猟免許の取得…上限13万円
(2)散弾銃又はライフルの購入…上限10万円

問合せ:産業振興課
【電話】76-2214

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