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〈特集〉めだかの教室~学校とも家庭とも違う場所で~

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島根県飯南町

不登校や不登校傾向の児童・生徒が利用する場所があります。学校とも家庭とも違うこの場所で過ごす子どもたちがいます。今月は、そんな子どもたちのために新たに動き出した「めだかの教室」を取り上げます。

◆新たな居場所として
近年、全国的に不登校や不登校傾向の児童・生徒が急増しています。文部科学省の発表によると、令和3年度の小中学生の不登校児童・生徒数は全国で約30万人(グラフ参照)。その背景や原因も多様化しています。
飯南町でも、不登校や不登校傾向の児童・生徒は増加傾向。学校以外の学びの場が必要となっています。
昨年度までは、平成24年度に開始した一人一人の実情に合わせた支援と指導を行うための支援教室「めだかの学校(来島保健センター内)」で、中学生以上の子どもたちに対応してきました。
今年度、町は「めだかの学校」の学習面での支援体制を強化。新たに小学生以上を対象に教育支援教室「めだかの教室」として運用を開始しました。
運用開始にあたり、保健福祉課に配属していた支援員(公認心理師)を教育委員会に配置転換。学習指導のため、飯南町学習支援館の講師を指導員として配置。支援員と指導員の体制を整えました。今後、学校や家庭、社会福祉協議会の運営する「ぷらっと」や島根県東部発達障害者支援センター「ウィッシュ」など関係機関と連携しながら、個々の状況に応じてきめ細かな相談・学習支援をしていきます。

◇不登校児童生徒数の推移

出典:「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」

◆できることから少しずつ
「みんな集まって聞いてくださーい」とお手製のカードゲームの説明を始める一人の生徒。通信制の高校に通いながら、月曜日と木曜日に開く「めだかの教室」を利用しています。
この生徒を含め、この日「めだかの教室」に来たのは3人の子どもたち。支援員や指導員と一緒にゲームを楽しみます。ゲームで頭と身体を使った後は、勉強も。指導員の那須裕之さんに課題のチェックをしてもらいます。
この日は昼食づくりの日。毎週木曜日は、生活に身近な「食」に関わる活動で、昼食を自分たちで作ります。支援員の大野順子さんに手順を確認しながら自分たちで。料理が得意な生徒が卵焼きを作ったり、苦手な生徒はお皿を出したり。役割分担をして進めました。
できあがった昼食を食べながら、楽しそうに笑顔で大野さんや那須さんと話す子どもたち。自分のできることや得意なことからやってみることで、少しずつ自信がついているようでした。

◆先を見つけるため
利用する生徒の保護者の一人は「学校以外の場所で、受け入れてくれる人がいることは、親としても助かります。学習の面もサポートしてもらえることで、子どもたちの希望につながっています。何より、大野さんとの関わりが切れずに、成長過程を共に見守ってもらえていることもうれしいです」と話します。
この保護者からの感想を聞いていた支援員の大野さんは「めだかの教室は、居場所でもありますが、ここを利用してもらいながら、その先を見つける場所になればと思います」と話します。「来てくれることが子どもにも保護者にとっても大きな一歩。図書館や保育所などに出掛けて、いろいろな人と関わり、いろいろな人の生き方を知ってほしいです。学びだけでなく、社会とのつながりを途切れさせたくないですね」と続けます。大野さんは、これからも子どもたちを支えていきます。
他者と同じ空間にいることが苦しかったり、勉強が苦手だったり。めだかの教室を利用する子どもたちが学校ではなく、ここに通う理由は一人一人違います。
不登校の子どもたちを受け入れる場所があり、支え、伴走してくれる大人がいる。それだけでも少し安心できるのではないでしょうか。

◆「めだかの教室」利用までの流れ

問合せ:飯南町教育委員会
【電話】76-3944

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