このまちに住んでいようと、なかろうと、ルーツをたどれば飯南町。生まれや育ちは違っても、飯南町に縁やゆかりがある。そんな人たちを紹介します。今回登場した人が次の人を指名。つながり続くよどこまでも。
◆緊張感を持ち、常に新しいことを
近代フランス史、とくにフランス革命・ナポレオン時代を研究する藤原翔太さん(38歳)。福岡女子大学での講師・准教授を経て、今年4月に母校の広島大学に准教授として着任しました。
「高校の世界史で、『ナポレオンがフランス革命を終わらせた」と教わりましたが、『どのようにして』と疑問を持ったことが、研究の道に進むきっかけです」と藤原さん。大学進学から、約20年間研究を続けても、飽きることはないのだそう。「『フランス革命はなぜ終わったのか』というテーマはありますが、それを明らかにするためにさまざまな角度から研究するので、いつも新たな発見があります」と続けます。
研究成果を多数の論文や著書で発表し、評価も批判も受ける立場の藤原さん。フランス政府給費留学生に選ばれた際に、自分への評価が変わったことを実感したそう。「研究生活で変わったのは自分ではなく、周りからの評価です」と話します。
研究の成果が評価の対象になることには、常に緊張感があり、メンタルの強さが必要。「自分で選んだことなので、評価や批判は当然。その厳しさ以上に、常に新しいことを学べる喜びがあります。史料を調べるなかで、点と点が結びついた時には爽快感も得られます」―。研究への熱意が失われることはありません。
研究場所にフランスの山間地を選んだことも。「山のなかで育ったからですかね。飯南町で育ったことは、研究のスタイルに影響しています」と藤原さん。「広島に戻り、飯南町が近くなったので、帰省もしやすいですね」と笑顔で話していました。
◇藤原 翔太(ふじはら しょうた)
野萱出身。飯南高卒業後、広島大に進学。大学院在籍中にフランス政府給費留学生として、トゥールーズ大学大学院に進学。博士号取得後に帰国し、現在は広島大学大学院人間社会科学研究科准教授(東広島市在住)
フランスで4年間生活していた藤原さん。その間、多くの土地を訪れた中で、南仏プロヴァンス地方が強く印象に残っているそうです。「中世の修道院を華やかに彩るラベンダー畑の風景がきれいでした」とフランスでの生活を振り返られていました
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