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市政の動き

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広島県安芸高田市

■問責決議と不信任決議の意味
6月の定例会で議会は市長に対する問責決議案を可決する一方で、市長に対する不信任決議案を否決しました。新聞等は断片的な情報しか報じないため、改めて全容を説明します。

◇問責決議案の中身
山本(数)議員ら[※1]は、問責の理由として道の駅の改修工事に関する専決処分を挙げ、「地方自治法第149条に規定されている正規の行政手続きをないがしろにした」と主張されています。もっとも、専決処分も地方自治法で認められている手続きです。前号で指摘した通り、これは異なる立場による見解の相違でしかありません。
また、市民アンケートについて「市長が自分の行ったことを正当化しようとしている」と批判されていますが、市民の意見を確認するのは当然の対応です。むしろ、議会基本条例には、議員の職責として市民の意見を的確に把握するべきと明示してあり、批判は真逆を向いています。
その上で、決議の中では「議会に責任をなすり付ける行為」という評価が示されていました。しかし、言うまでもなく法的に全ての議決は議会が責任を負うため、そもそもの認識が間違っています。

◇不信任決議案の真意
こうした中、熊高議員と秋田議員によって市長に対する不信任決議案が提出されました。市政を正常化するには、制度の都合[※2]、不信任決議を経て市民に議会と市長の信を問う[※3]必要があるためです。

◇問責と不信任の矛盾
法令違反[※4]があったと市長の責任を追及するのであれば、法的拘束力のない問責などで済ませるのではなく、不信任を議決するべきです。そうしない理由は、議会の解散によって自らが議員の立場を失う可能性があるからに他なりません。議員が保身を優先した結果が、問責と不信任の矛盾として現れています。

[※1]賛成者は山本数博、武岡隆文、新田和明、山根温子、先川和幸、石飛慶久、山本優、宍戸夫、児玉史則(敬称略)。
[※2]議会が市長の不信任を議決した場合のみ、市長に議会の解散権が生じます(不信任決議がなければ、市長は議会を解散できません)。
[※3]議会が解散し選挙を経た後に、再び市長の不信任が議決されると市長は失職します。
[※4]問責決議案の質疑に対する答弁で、山本(数)議員は「法令違反があった」「賛成者は納得している」と発言されています。

■観光協会が解散に至った経緯
中国新聞の報道などによって、観光協会の解散について一部に誤った認識があるため、協会の事務局を通して確認した事実をお伝えします。

◇経営に対する支援
そもそも、第三セクターである道の駅[※]と観光協会の連携を強化するため、市は職員を協会へ派遣していました。しかし、事業の調整が難航したため、2022年度からは市の職員を引き上げ、協会の自主性に任せた運営に移行した経緯があります。

◇経営改善の指導
また、市は毎年約1,400万円の補助金を協会へ出していましたが、事業の中身を十分に把握できていませんでした。そこで、改めて経営状態を点検し、2022年度には財務諸表の作成や在庫の管理などについて指導を行っています。

◇補助金の減額
財務状況を精査する中で、2021年度の決算において繰越収支差額が1,408万円あり、その内782万円を現金で保有していることが判明しました。もっとも、一般社団法人などの公益法人には「収支均衡の原則」があり、繰越額を可能な限り小さくするのが本来あるべき経営の姿です。
したがって、協会との協議を通して、2023年度の補助金は半減(▲670万円)が可能と判断しました。むしろ、歳出を預かる立場として適切な監督・指導は義務であり、補助金の減額は当然の対応だったというのが実際です。
なお、2024年度以降については、事業の見直しによって持続可能な形を探る算段でした。予てから、協会が担っている事業は道の駅や市(商工観光課)と重複する部分が多く、効率的な枠組みを構築する必要があったためです。

◇中国新聞の取材不足
こうした経緯について把握していたか記者会見の場で中国新聞の記者に確認しましたが、記者は事実と異なる認識を述べました。不十分な取材に基づいた記事は、読者の理解をゆがめる原因となるため非常に危険です。

[※]安芸高田市、ひろしま農業協同組合、広島駅弁当株式会社が出資する株式会社。

市長 石丸 伸二

■主な動き
7/6[議長への書面通知]道の駅の改修工事に反対する理由について、全員協議会での意見聴取を申し入れ。
7/6[面談]金行議員と表彰制度、議会運営について意見交換。
7/19[議会事務局からの連絡]7月6日付の申し入れを拒否。
7/20[Web面談]北海道ニセコ町の前原孝植議員と地方政治について意見交換。

※前号で、各議員の道の駅の改修工事に対する賛否を掲載しました。
その中の注釈で、「大下議長は欠席」と記載しましたが、欠席は6/16の本会議のみです。

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