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自治体の皆さまへ

医師会だより #30

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広島県尾道市

■もっと知って欲しい膵臓がんのこと 早期診断はとても大切です
皆様は「膵臓(すいぞう)」をご存じですか。私の外来を訪れる患者様やご家族の多くは、「よくわからない」と言われます。膵臓は胃の裏側にあり、幅3cm、長さ12cm位の小さな臓器です。「膵液(すいえき)」を出して腸内で食餌を消化すると共に、「インスリン」などのホルモンで血糖を調節するなど、重要な働きがあります。一方、膵臓がんは従来から非常に治療成績が悪く、「5年生存率が最も悪いがん」とされています。現在日本国内では、膵臓がんの年間死亡者数が約40,000人と年々増加しており、死因の第4位とされ、治療成績の改善には早期診断の重要性が提唱されています。
私が当院に着任した1997年ころは、膵臓がんに対する有効な診断・治療法が少なく、膵臓専門医として非常に悔しい思いの連続でした。そんな中、2006年に日本膵臓学会から「膵癌診療ガイドライン」が発刊され、初めて膵臓がんの危険因子が提唱されたのを機に、尾道市医師会のご理解のもと「膵臓がん早期診断プロジェクト(尾道方式)」が2007年からスタートしました。「喫煙」、「大量飲酒」、「糖尿病」、「肥満」、「膵臓がんの家族歴」などを複数以上持つ患者様に、診療所などで血液検査や腹部超音波(エコー)などを行い、異常があれば中核病院に積極的にご紹介頂く取り組みです。開始後15年が経過した現在、早期診断例が増加し、地域の5年生存率は全国平均(8.5%)を大きく上回る約20%にまで改善しています。尾道方式はすでに国内50カ所以上で展開されており、2022年11月からは広島全県下で「尾道方式」を参考としたHi-PEACEプロジェクトも開始され、治療成績の改善が期待されています。皆様も膵臓がんに関心を寄せて頂き、何か気になることがあれば、診療所の先生方、当院のがん相談支援センターのスタッフなどに気軽にお尋ねください。

JA尾道総合病院・副院長
花田敬士先生

次回は広報おのみち令和6年6月号に掲載予定です。

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