季節ごとに多種多様な水産物が楽しめる尾道。
水産業を取り巻く社会や自然環境の変化に適応しながら、尾道は港町として発展してきました。
■海の恵みを守り育む
●「獲る漁業」から「つくり育てる漁業」へ
漁業協同組合と市の連携のもと、漁獲量の減少に歯止めをかけ、資源を回復させるための取り組みが行われています。
その取り組みの1つが稚魚の放流です。平成19年度から行われているアコウの稚魚放流により、かつては「幻の魚」と呼ばれたアコウの漁獲量を大きく増加・安定させました。
数を増やしすぎないよう、放流する稚魚の量は漁業者間で話し合って調整されています。
●美しく豊かな海を守るために
海底には、陸地から流れてきたごみが積もっています。大半を占めるのはプラスチックごみであり、これらは海の生物の活動を阻むほか、海底に網を沈めて引っ張り魚を獲る「底引き網漁」の妨げになっています。
漁業協同組合と市で協力して、継続的に海底ごみを回収・処分しています。しかし、広大な海の底に溜まり続けるごみを回収しきることは困難な状況です。尾道の海をよりきれいにするためには皆さんの協力が必要不可欠です。ごみを正しく処分し、尾道の海を守りましょう。
▽高い放流効果が見込まれる魚種を選び、放流しています。
期待されている3種:
(1)キジハタ(アコウ)
(2)ワタリガニ
(3)クルマエビ
■味わおう!尾道のおいしいお魚
尾道は干潟や内湾などで形成された複雑な地形になっています。それぞれの地形では環境が異なるため、生息する生物の種類も変わってきます。複雑な地形を持つ尾道近海では、様々な種類の魚介類が水揚げされています。
また、瀬戸内海を回遊する魚の産卵場所にもなっていて、多くの魚が産卵の時期に集まってきます。
季節ごとに多くの種類の魚介類が獲れることが尾道の水産業の特徴の一つです。
▽尾道季節の地魚の店
尾道近海で水揚げされた魚介類の料理が食べられるお店を「尾道季節の地魚の店」として認定しています。
専用HPでは、認定店舗と地魚を紹介しています。
●尾道あこう祭り
かつては幻の魚であった「アコウ」。今では尾道を代表する魚となっています。
「尾道あこう」をPRするキャンペーンが定期的に開催されています。
参加店舗でアコウ料理を食べてアンケートに答えると抽選で食事券が当たります!
●尾道地魚エール祭り
尾道の地魚を取り扱う飲食店を、地魚を食べて応援するキャンペーンが令和2年から開催されています。
参加店舗で地魚料理を食べて応募するとクーポン券が抽選で当たります!
●おいしい!広島プロジェクト
「おいしい!広島プロジェクト」とは、広島の「おいしい」イメージを醸成し、ひろしまブランドを強化すること、ひろしまの食文化の発展と継承につなげることを目的に広島県が実施しているプロジェクトです。
プロジェクトの一環として、地魚と地酒の組み合わせをおすすめする動画の制作が行われています。
尾道を舞台に「アコウ」をテーマにした動画が制作され、広島県のSNS各種で配信されました。
動画は広島県YouTubeチャンネルからもご覧になれます。
■漁師は信用第一プライドをもって良い魚を提供したい
尾道漁業協同組合
代表理事組合長 藤川伸一さん
▽最近の海はどうですか?
温暖化などの影響で水温や栄養の状態が変わってきています。
海の生態系が変化してきていて、アイナメなど一部の魚は以前より獲れなくなっています。水温が上がった影響で、獲った魚がいけすのなかで死んでしまい、市場に鮮度の良い状態で届けるのが難しいこともあります。
しかし、悪い変化だけではありません。水温が上がったことにより、近年は冬でも「アコウ」が獲れるようになるという良い変化もありました。
変化する海で漁を行うには、とにかく情報が大事です。
近隣の漁業者と情報を共有して、その年の魚の動きを読んで漁を行っています。
また、魚にはそれぞれ習性があります。潮の流れに対しての泳ぎ方の癖など、魚の習性を覚え、それを利用して漁師は漁を行っています。船に乗って失敗を重ねながら漁を続け、20年ほどで魚の動きが読めるようになりました。
漁師は横着せずに地道に頑張ることが必要。自分のブランドを自分で作っていく時代になったと思います。
「この人の魚ならまちがいない、良い魚だ!」と思ってくれるリピーターを作る努力が必要です。絶対に活きの悪い魚は売りに出しません。良い魚だけを出すというポリシーを持って魚を売っています。魚は獲れたら終わりではありません。獲った後の扱いが大変です。どうやって活きの良いままで届けるか、丁寧に工夫しながら鮮度を保っています。
県外からも尾道の魚は評判が高いです。県外の魚屋で尾道の魚を取り扱ったコーナーの商品はすぐに売り切れるとも聞いています。尾道の魚の価値は上がってきています。流通の幅を広げていくために漁業者みんなで頑張っていかなければいけません。
■これからの季節におすすめの魚は「クロダイ(チヌ)」!!
今が旬
・低脂肪
・低カロリー
・高たんぱく質
健康にも良いおいしい魚です!
夏と冬が旬の魚です。
水炊きにいれて「チヌ鍋」で食べるのが冬のおすすめ!
竜田揚げにするのもおいしいですよ。焼いても煮ても揚げてもおいしい魚です。尾道近郊の海では安定した漁獲量があります。
「産後の肥立ちに良い」という言い伝えがあり、尾道では産後にチヌを食べる風習があります。
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問合せ:農林水産課
【電話】0848-38-9478
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