マダニに刺されないようにしましょう
庄原市医師会 むらた皮膚科クリニック 村田 将(むらた すすむ)
マダニは、主に屋外の林道沿いや河川敷などジメジメした所に生息しています。葉っぱなどに潜んで、動物や人が来た時に、素早く乗り移り、皮膚表面を移動して適当な部位(皮膚が薄い場所、膝裏や脇の下などを好む)を見つけ頭を突っ込んで吸血します。数日~数週間かけてゆっくり吸血し、お腹いっぱいになってパンパンに膨れたら脱落します。
また、ダニ咬傷(こうしょう)のあと数日~数週間後に怖い感染症になることや、牛肉アレルギーになり、牛肉が食べられなくなることもあります。咬傷後の治療も大事ですが、まずは刺されないように予防するのが一番です。
■マダニ咬傷による症状や感染症
マダニに刺された部位は、他の虫刺されと同様に赤く腫れたり、痒みが出たりします。それは次第に治まるので心配ありませんが、その後、発熱や吐き気、おう吐、皮疹(ひしん)などが出現する日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)やツツガムシ病、さらには重症化する事もあるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を発症することがあります。SFTSに関しては令和6年6月に「アビガン(R)」が治療薬として追加承認されるなど治療も進んできていますが、毎年広島県でも死亡例があるので注意が必要です。マダニ咬傷後1~2週間で発熱したときは、病院での診察時にマダニに刺されたことを伝える事が重要です。
■警戒すべき時期
当院で摘除した令和3年~令和6年の4年間のマダニ咬傷(計105人)の月別患者数を見ると、例年4月から増え始め5月~7月にピークを迎えています。県北地域ではこの時期は特に注意する必要があります。令和5年に摘除したマダニの大きさは2mm以下が16%、3~5mmが68%、5mm以上が17%で、ちょうど米粒ぐらいの大きさのマダニが最多でした。
■対策
まずは初夏~夏に山に入るときには、肌を露出させない服装をし、虫よけスプレーなどを使用することが重要です。その上で刺されてしまった場合は、小さなマダニで簡単に取れるものはつぶさないようにピンセットなどで取ってもよいと思いますが、大型のものは簡単に取れないことが多く、医療機関で摘除してもらう方が口器が残らず安心です。その後、数日~2週間程度は発熱などの症状に注意して、症状があれば医療機関でマダニ咬傷があったことを伝え、発熱の原因検索や治療をすることが重要です。
問合せ:保健医療課健康推進係
【電話】0824-73-1255
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