文字サイズ
自治体の皆さまへ

ふるさとふちゅう再発見【第31回】

25/32

広島県府中町

府中町で体験、四国お遍路(17) 鵜上寺(4)
昭和43(1968)年に、鵜上寺(うじょうじ)では盛大な行事が行われました。長福寺(ちょうふくじ)に預けていた本尊の十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)が鵜上寺に帰ってくる遷仏式(せんぶつしき)です。いつ、なぜ長福寺に預けられたのかは資料がなく分かりませんが、明治以来の関係で預けられたのでしょう。鵜上寺の世話人の一人がこの時の写真を保存されており、長福寺住職と共に正装した世話人が長福寺の門を出発する姿、厨子(ずし)に納められた本尊と御供(おとも)をする僧や信徒の行列、鵜上寺に入る稚児行列(ちごぎょうれつ)などの写真が盛大さを伝えています。
鵜上寺の大きな祭事は2月の初観音(はつかんのん)、4月の花祭り、7月の四万八千日(しまんはっせんにち)でした。祭事では、まず御詠歌(ごえいか)が詠われ、次に読経(どきょう)、その後に数珠繰(じゅずく)りをし、お斎(とき)をいただくという順番で行われました。お斎は以前、世話人が作っていましたが、徐々に弁当を頼むようになったそうです。数珠繰りはお堂に輪になって座り、お経をあげながら数珠を順送りするもので、大きな数珠が自分のところへ来ると額(ひたい)に当てました。使用した大数珠は今も寺に保管されています。一番の大玉には「十一面観世音勧請(かんじょう)記念昭和四十三年十月二十三日北谷山鵜上寺」と彫られており、御本尊が長福寺から帰還した際に新調されたものと分かります。小玉には「十一面観音」の文字が一文字ずつ書かれています。
鵜上寺は普段は閉扉(へいひ)しており、広島新四国八十八カ所霊場会が主催する春秋の2回の巡拝の折に開扉(かいひ)し、世話人会が湯茶の接待を行っていましたが、コロナ禍のため現在休止しています。現在、鵜上寺は石井城上(いしいじょうかみ)町内会が集会所として使用しており、観音様の縁日である毎月18日に、町内の有志でお参りや周辺の掃除を行っています。
府中町文化財保護審議会委員 菅信博

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU