“つなぐ・つながる”をテーマに市内で活躍する人やお店をリレー形式で紹介!
■江田島銘醸株式会社(江田島町)
住岡龍(すみおかりょう)さん
▽企業紹介
海軍兵学校設立後の明治40年創業、御用酒の醸造を始めた。江田島市内で現在は唯一の造り酒屋。昔ながらの麹蓋(こうじぶた)製法を代々受け継ぎ、米本来のうまみを引き出した酒造りを追求。海上自衛隊特別警備隊などコラボ商品も多彩で、昨年販売のG7広島サミット開催記念限定ラベル「同期の桜」も好評を博した。
■日本酒づくりの魅力とやりがいを感じて
江田島町出身の住岡さん。代表取締役で杜氏(とうじ)を務める父・光男さんとともに、後継者として日々酒造りに従事する。例年12月から日本酒の仕込みを始め、4月末まで続く。5月から米焼酎を、それ以降は営業や蔵の整備に着手する。米を蒸す日は早朝4時半頃から取り掛かり、午前で済ませて道具を洗浄すると次の仕込みの準備。これらの作業を、両親と一緒に行っている。
県外に出ていた住岡さんは、9年ほど前に帰郷。父と酒造りをしていた外部の蔵人(くらびと)が高齢で、将来を案じた末に今の道を選んだ。佐伯区の八幡川酒造や広島県の食品工業技術センターなどでも技術を学び、「日本酒づくりの魅力、やりがいを感じている」と住岡さん。2022年には三原市の米農家との共同開発で、食用米※のコシヒカリを「HIROSHIMA渢路(ふうろ)」として、地方創生を目指した日本酒を生み出した。食用と違う形で消費者の方に届けたい、米農家の思いを形にした。「小規模の仕込みもできるので、試験的なものなど対応できる。酒米とは製法が違うので挑戦してみたかった」と意欲を語る。
客層は地元と市外が半々。自衛隊関係の方からの利用をはじめ、観光で訪れて店舗や商品をSNSに掲載するファンも多い。美麗なパッケージのコラボ商品を機に、新規購入も増えている。
洗米や麹造りの道具を見直し、製造工程も一人でできるよう改良を加えた。既製品以外に道具も自作して、人手が要らない工夫を行う。「今まで受け継いだ味も守りつつ、自分の代でしかできない酒も造っていきたい」試行錯誤しながら、これまでと違った江田島銘醸の味を手がけたい、と住岡さん。「ちょっと辛口ですっきり飲めるものも増やせれば」静かな口調に覗くその情熱に、期待せずにはいられない。
※食用米…山田錦など日本酒に適した酒米と粒の大きさや構造が異なる。酵母の選定や精米など課題が多く、日本酒に不向きとされる。
▽店舗情報
住所:江田島町中央2丁目27-1
営業時間:9時~17時
定休日:不定休
【電話】(0823)42-0001
広報掲載から翌月頃にA3判フルカラー版を江田島市ホームページで更新します
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