“つなぐ・つながる”をテーマに市内で活躍する人やお店をリレー形式で紹介!
■ふぁーむうみがめ(江田島町)堀野晃(ほりのあきら)さん
次のこどもたち、今この世代を考える。
放っておけなくて取り組んでいる。
▽企業紹介
2024年2月に個人事業主で開業。自らの名を冠した「堀野農園」ではインパクトが無く、覚えてもらいやすい企業名を思案。縁起物の鶴と亀のうち、現代的な持続可能の意味合いを感じる亀から企業名にウミガメを加えた。江田島市商工会の創業塾を受講後、商工会からの助言も受けながら作物の選定や加工品のさらなる向上を図る。
堀野さんは広島市の金融機関を定年退職後「農業を始めたい」というかねてからの望みで、江田島町の畑つき物件を購入。自宅は広島市ながら、殆どはこの江田島市で事業を行う。築50年超えの中古住宅で、内装のしっくい塗り替えや床の張替えなど家族の協力も得て補修を行い、裏庭の荒畑にも手を入れた。同町に購入した10aアールの耕作放棄地は雑木林のような荒れ方で、業者に伐採のみ依頼後は、自身で草抜きなど行い、耕した。
小さな畑のあるオフィスでは果実など複数種を育て、もと耕作放棄地の畑には量産用の品種を移植する。「かつての農地だった場所が、荒れ果てていく姿は悲しいですね」。島内の耕作放棄地の増加、食料自給率の低い今の日本を憂い、輸入依存の現状に危機感を抱く。次世代の若い人に、自分が起こした事業を引き継いでほしいと堀野さんは語る。
島根県西部の山間地域で育った堀野さんは、祖父の畑でサツマイモを収穫した幼少の体験が忘れられないでいた。趣味のカヌーの縁で、定年前から江田島市へ通っていた際、オリーブ栽培をしていたカヌー仲間から小さな畑を借りた。2年間のサツマイモ栽培の経験から自分の畑でも植えてみたが、柵が弱く、イノシシの被害に遭った。
柵を強固にしたサツマイモ栽培の復活も考えつつ、気候に適したイチジクやブルーベリー栽培に現在は着手中。江田島市のイチジクは蓬莱柿(ほうらいし)が有名だが、皮ごと食べられる他の品種で商品化を目指す。甘味が強く、市商工会での試食も好評。シャーベット状の食感のため、半冷凍で提供する。
「残りの人生、好きなことがしたいなと思って。家族の了解もあったので」と堀野さん。サツマイモだけでなく、他の作物を複数育てて結果を出す、多角化の手法に驚かされる。前職の金融機関では多様な商品を紹介していた堀野さんの視点と手腕が冴える。
海で殆どを過ごすウミガメの中には、産卵のときに生まれた場所へ戻るという研究もある。こどもの頃の思い出から、堀野さんは定年後に農業の道を選んだ。単なる回顧ではなく個人の本能を、ウミガメは象徴しているのかもしれない。
※蓬莱柿(ほうらいし)…関西以西で栽培。完熟すると先端が裂けるので遠方の輸送に向かない。江田島市では約18トン(2024年時点)を広島市などに出荷
▽企業情報
住所:江田島町小用
【E-mail】freedom1959akira★gmail.com(★を半角@にして送信)
営業時間:午前10時~午後2時(メール対応時間)(土日祝日、年末年始、お盆休み除く)
広報掲載から翌月頃にA3判フルカラー版を江田島市ホームページで更新します
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