■ハンセン病とは
ハンセン病は「、らい菌」と呼ばれる細菌による感染症です。
初期症状は、知覚麻痺や皮膚の発疹です。治療薬がない時代には、皮膚や手足の変形を起こしたり失明したりするなど、治っても重い後遺症を残すことがありました。
ハンセン病は、症状が進むと容姿が変形するなどの後遺症を残すことがあったことから差別の対象になりやすかったと考えられます。また、かっては遺伝病であると誤解されたこと、「不治の病」と考えられ、恐れられたことも、偏見や差別の要因でした。
さらに偏見や差別を強めたのが隔離政策です。ハンセン病患者を一般社会から強制的に隔離する政策をとり続けたことが、「ハンセン病は怖い病気である」という意識を定着させてしまったのです。
■隔離政策の歴史
日本の隔離政策は明治時代から始まりました。1907(明治40)年の「癩(らい)予防ニ関スル件」という法律によってハンセン病患者を施設に収容し、1931(昭和6)年には「癩(らい)予防法」が成立し、全国に療養所が作られ、強制隔離政策が推し進められていきました。
また、療養所の中では結婚は認められましたが、男性は断種を、女性は妊娠中絶を強制されました。
「癩予防法」は1953(昭和28)年に「らい予防法」という新しい法律に変わりましたが、入所規定はあっても、退所規定がなく、強制隔離政策は、そのまま残されました。隔離する必要のない人を隔離する、この重大な人権侵害は、同法が廃止される1996(平成8)年まで続きました。
■未来に向かって
ハンセン病についての正しい知識を得ることは大切なことです。遺伝病ではなく感染症だが極めて感染力は弱いこと、早期に治療すれば後遺症もなく治療できること等を正しく知る必要があります。そして、それにも関わらず長年にわたり国の誤った強制隔離政策が継続されてきたことによって、ハンセン病回復者とその家族が大きな被害を受けてきたことを学ばなければなりません。
そしてその上で「正しい知識」を得るだけでなく、それをさらに、私たち自身のハンセン病に係る偏見を克服し、差別を根絶していくという、行動変容ないし意識変容に結び付けていくことが問われているのです。
ー公益財団法人人権教育啓発推進センターハンセン病と人権より引用ー
問合せ:人権推進課
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