■第100回 離乳食の与え方?
▽質問
離乳食を与えるときに、食器を共有しない・噛み与えをしない方が、子どもの歯の健康に良いと聞いていました。ところが、結果的にアトピーや花粉症になりやすくなるとの話も聞きました。実際のところ、どうすれば良いのでしょうか?
▽回答
むし歯に限らず、我が子が健やかに育ってほしいと願うのは、すべての親に共通する心情だと思います。
質問の、食器を共有しない・噛み与えをしないようにというのは、家族からの細菌の移行をできるだけ防ぐ観点から、指導されてきました。
むし歯や歯周病は細菌が原因となって生じる細菌感染症です。原因となる細菌感染をなるべく少なく抑えることが望ましいのです。そして、口腔内細菌叢(こうないさいきんそう)と呼ばれるお口の中の細菌の種類、その構成は、5歳くらいまでに、ほぼ定着することがわかっています。
同時に、近年、特に先進国でアレルギー疾患が増加しており、その原因の一つとして、清潔過ぎるライフスタイルが挙げられています。
スウェーデンの研究で、親の唾液を与えられた新生児は、生後18カ月で喘息が約9割、アトピー性皮膚炎が約6割、減少したと報告されています。
日本の複数の研究でも、乳児期に噛み与えをするなど親の唾液と接触があった場合、学齢期にアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の発症リスクが有意に低下したと報告されています。喘息については発症リスク低下の可能性が示されています。
極端な清潔志向、過ぎたるは、なお、及ばざるがごとしですね。
むし歯を予防するには、各種フッ化物の利用や食生活の管理が最も有効です。また、両親や祖父母など家族が定期健診を受け、口の中を管理しておくことも大切です。
詳しくは、かかりつけの歯科医院まで、ご相談ください。
▽吉野川市歯科医師会
第100回を迎え、本連載は今回で終了となります。長きにわたりご愛読いただき、心より感謝申し上げます。
・お口の質問について(窓口)
市長公室【FAX】22-2244【メール】m-koushitsu@yoshinogawa.i-tokushima.jp
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