■第91回 下顎の親知らずを二回に分けて抜く?
▽質問
県外に住む三十歳の娘ですが、親知らずが痛くなり、かかりつけの歯科医から病院歯科を紹介され、そこで、二回に分けて抜くと言われたそうです。心配です。一体どういうことなのでしょうか?
▽回答
二回に分けて抜くと聞いて驚かれたことでしょう。直接説明を受けられてないのでなおさらかも知れません。
下顎骨(かがくこつ)には下顎管(かがくかん)という管(本紙図一~四の濃いグレー部分)があり、その中には、神経、動・静脈が通っています。智歯(ちし)(親知らず)の歯根と近接している場合、抜歯後の併発症として神経障害による知覚麻痺があります。
抜いた側の下顎全体に痺れ、ピリピリするような感じや痛み、唇や口角の感覚がないなどの麻痺の出現は、約五パーセントとの報告があり、近年智歯抜歯の症例数が多いため、その実数は多くなり、できるだけ避けることが求められます。
二回法抜歯術は、CT検査などで近接が疑われ、リスクが高い場合(本紙図一)、通常一回で抜く手順を二回にわけて行う方法です。一回目に萌出(ほうしゅつ)障害となっている歯質を除去(本紙図二)したのち、一定期間(三~六カ月程度)待機し、歯根が移動し、下顎管から離れるのを待って(本紙図三)、二回目の処置で残りの抜歯を行う(図四)、より安全性の高い抜歯方法と考えられます。
不明な点があればかかりつけ歯科医院にご相談ください。
▽吉野川市歯科医師会
お口の質問を募集しています。下記までメールまたはFAXでお寄せください。
・お口の質問について(窓口)
市長公室【FAX】22-2244【メール】m-koushitsu@yoshinogawa.i-tokushima.jp
<この記事についてアンケートにご協力ください。>