■日本遺産 藍のふるさと阿波~日本中を染め上げた至高の青を訪ねて~
▽藍作地方特有の氾濫地帯の土地利用
良質な藍づくりの鍵は、雄大な吉野川にある。日本三大暴れ川の一つである「四国三郎」吉野川は、たびたび氾濫し、流域は甚大な被害を受けた。その反面、洪水によって肥沃(ひよく)な土壌がもたらされ、豊富な伏流水にも恵まれたため、「阿波の北方」は、藍の栽培に適した土地となった。
かつては、あたり一面藍畑だった阿波の北方の景色も、時代とともに変化しつつある。藍作の衰退後、養蚕業が盛んになり多くの畑が桑畑に変わったが、現在では徳島県の出荷量が日本一を誇る春にんじんやスイートコーン「甘々娘」のほか、野沢菜など、有数の園芸作物地帯となった。
かつての藍作地方特有の氾濫地帯では、特に柔らかくて甘い春にんじんや、特に糖度が高くて甘いスイートコーン「甘々娘」が育つことで知られ、現在も吉野川の恩恵を受けている姿を見ることができる。
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