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ウミガメNews Letter No.22

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徳島県美波町

■ウミガメのお得意様
今年の大浜海岸でのアカウミガメ上陸産卵頭数は、上陸も産卵も0という結果になってしまいました。これは昭和25(1950)年から記録が残る調査の中で初めての事です。実は、産卵シーズンの早い時期から、他の産卵地との情報交換で、今年のアカウミガメの産卵頭数が例年に比べてかなり少ないという話を聞いていましたので、他の地域と比べて減少が目立つ大浜海岸での上陸産卵が気がかりでした。上陸産卵頭数の減少は大きな問題ですが、大浜海岸の問題は、実は「回帰率」の低さなのです。つまり、大浜海岸で産卵したウミガメは、その後再び、大浜海岸で産卵することが少ないのです。この事は他の産卵場では見られない状況です。分かりやすく例えると、大浜海岸にはお得意様のウミガメが少ないのです。産卵頭数は砂浜に上陸して産卵するウミガメを数えることで判ります。この時に目印になる標識(タグ)を付けます。このタグには、同じものが無いように番号を付けてありますので、次にこのウミガメが目撃されたときにタグの番号を見れば、このウミガメがいつどこから来たのかが解ります。産卵中にタグを付けたウミガメが、その後、同じ砂浜で産卵したことが確認されると、このウミガメはこの砂浜に「回帰した」つまり、この砂浜のお得意様ということが解ります。ある店のお得意様はどうしてその店に何度も来てくれるのでしょうか。皆さんもお分かりになると思いますが、「その店の料理、品物、雰囲気が好き」とか、「家の近くで便利だから」などの理由がありそうです。ウミガメにそのような気持ちがあるのかはわかりません。しかし、調査活動が産卵を邪魔してしまい、産卵できずに海に帰ってしまったウミガメが、数日後に別の砂浜で産卵したという事は良くある話です。また、安心して産卵することができた経験を積み重ねて、数年後の産卵もこの砂浜で行うという説もあるので、安心して産卵できる砂浜の環境を守って、ウミガメに気に入ってもらい、お得意様になって欲しいというのが、現在、大浜海岸で行われているウミガメ保護対策ですが、今年はその効果を確かめることはできませんでした。一方で、「お客さん(ウミガメ)に、店(砂浜)がここにあることに気づいてもらえない」ということも気になっています。これは次の号でお話しましょう。
館長:平手康市

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〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦369うみがめ博物館カレッタ「質問係」

▽Question
卵を産むとき、なぜウミガメは泣いているの?

▽Answer
ウミガメが涙を流すのは、卵を産むときだけでなく、海中にいる時も流しています。この涙は、海の生活で体内に溜まる多すぎる塩分を目の後ろにある「塩類腺」で濃い塩水にして捨てているもので、目から流れるため涙の様に見えるのです。

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