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ウミガメNews Letter No.21

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徳島県美波町

■ウミガメの年齢と寿命
8月13日は日和佐うみがめ博物館カレッタで飼育中のアカウミガメ「浜太郎」の誕生日(ふ化日)です。昭和25年からウミガメの調査研究を始めた日和佐中学校科学部ウミガメ研究班の活動の中に、同年6月23日に甲長89cmのアカウミガメが大浜海岸で産卵した125個の卵のうち、人工ふ化実験に用いた30個からふ化した子ガメ達の1匹が現在の「浜太郎」であることが記録されています。その当時、情報も設備も予算もない中でのアカウミガメの研究活動は手探りと手作りで行われました。特に、ふ化した子ガメ達に最初の冬の寒さを乗り越えさせる事は苦労したそうです。そのために中学生達は、漬物用四斗樽を木箱に入れ、その隙間に保温材として木くずを詰めた飼育水槽を自作しました。加えて、ブリキ製の茶筒に白熱電球を入れて飼育水槽の水面から吊り下げて加温装置とし、飼育水槽の上には毛布をかぶせて保温したことが記録に残されています。現在では、水槽も加温装置も普通に市販されています。また、インターネットで初めて見る生き物であっても、様々な情報を得ることも出来ます。すべてが豊かになった現代人として、当時の中学生達の「創意と工夫」には本当に驚かされます。中学生達の奮闘は、地域の皆さんや町の支援の下で受け継がれ、「浜太郎」は73歳の誕生日を迎えました。「このウミガメは何歳?」、「寿命はどの位?」という質問をよく聞きます。「浜太郎」に関してだけは、何歳と聞かれれば73歳と即答できます。年齢の分かっている、つまりふ化した日が判っているウミガメは他にもいますが、73歳という年齢は世界で最も高齢のアカウミガメになります。では、この後何年生きられるのか、つまり「寿命はどの位?」については、「浜太郎が生き続けるまで…」という曖昧な答えになってしまいます。現状の「浜太郎」は食欲旺盛、動きも活発で、まだまだ現役と思われます。大型リクガメのゾウガメでは150年位は生きるようですし、野生アカウミガメには「浜太郎」より大きい個体もいますので、アカウミガメもゾウガメと同じ程度の寿命ではないかと想像しています。もしそうならば、「浜太郎」の飼育を次の世代に引き継がなければなりません。そのためには、まだまだウミガメについて学ばなければならないことは多くあり、飼育を始めた中学生達に負けず、「創意と工夫」で向き合わなければなりません。
館長:平手康市

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〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦369うみがめ博物館カレッタ「質問係」
Question:どうしてウミガメの年齢や寿命は判らないの?
Answer:木の年輪の様に1年間に成長した跡は骨に残りますが、骨は中心から外に成長しながら、中心の部分は分解されて空洞になってしまうため、大きく育つほどウミガメの年齢は判らなくなり、寿命を調べることも難しくなります。

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