美波町の各所に残る文化財や史跡を写真とともに紹介していきます。
出典:美波町歴史散歩
■近江式宝篋印塔(おうみしきほうきょういんとう)町指定文化財
昭和60年4月、阿部寺谷の道路工事の際、出土した石碑群の中の一つ、石質は和泉砂岩、相輪は欠落していますが基礎、塔身などからみて80cmほどの小塔。基礎の前面に輪郭、その中に格狭間(こうざま)を線刻、その中に近江式開花蓮華(おうみしきかいかれんげ)の装飾文様を彫刻してある珍しい意匠の宝篋印塔。この形式は近江国(おうみのくに)(滋賀県)が発祥の地で中世以降各地に伝わっています。塔身(とうしん)には月輪(げつりん)を刻み、その中に金剛界四仏の種子(しゅし)を刻してあり、笠の隅飾には二重孤の輪郭が見えます。全体の形態からみて室町末期の永禄、天正(1570年前後)のころの造立と思われ、この宝篋印塔がこの地に建てられていることは、阿部観音堂の佐々木一族の位牌と完全に結び付くもので、中世の地方史解明の上で、近畿文化圏とのつながりを示す注目すべき資料といえましょう。
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