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うちのお医者さん[168]慢性腎臓病(CKD)について

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徳島県阿波市

阿波町谷島林内科医院 林康夫(はやしやすお)先生
慢性腎臓病(CKD)とは、蛋白尿、血尿などの腎障害、あるいは血清クレアチニン値上昇など腎機能低下が3カ月以上持続する状態と定義されています。わが国でも、1300万人(成人人口の8%)が罹患していると推定され、新たな国民病といわれています。
腎臓には、体内の老廃物をろ過して血液を再利用する、不要なものは尿とともに体外に排泄する重要な役割があります。また水分や電解質の濃度を調整して体内のバランスを整える、赤血球の生成や血圧を調整するホルモンを分泌する、ビタミンDを活性化して骨を健康にするなどの役割があります。その腎臓の能力が落ちれば、汚れた血液が体内を巡り続け、当然体に不調をきたします。
慢性腎臓病で厄介なのは、そのまま放置し進行すると慢性腎不全、尿毒症に陥り、血液透析、腎移植が必要となり、時間的にも経済的にも甚大な負担となることです。心筋梗塞、脳卒中、心肺停止など死に直結することもあります。
腎機能検査の方法は、血液検査における血清クレアチニン値です。クレアチニンは、筋肉を動かすためのエネルギーを使った後に出てくる老廃物で、腎臓から尿と一緒に一定量排泄されます。この血清クレアチニン値を基に、性別、年齢を加味して、腎臓ろ過能力(e-GFR)が算定されます。この値で60未満が続くと慢性腎臓病と診断されます。
腎臓は予備能力が大きいため、一旦慢性腎臓病に罹患しても無症状のうちに進行し、一度進行してしまうと元の状態には戻れません。高齢化社会になって動脈硬化症(高血圧)による腎硬化症から慢性腎臓病に至るケースが増えています。また、蛋白尿、糖尿病は慢性腎臓病の増悪因子として最も重要です。早めに適切な治療を受ける必要があります。
腎臓ろ過能力が15未満(下表G5)となると、尿毒症と診断され血液透析、腎移植適応となってしまいます。
現在腎臓の機能に何の問題もない方も、慢性腎臓病と診断された方も、食事、生活習慣の改善、基礎疾患の管理によって、一日でも長く、日常生活が送れるように心がけましょう。

慢性腎臓病(CKD)の重症度分類

このコーナーは阿波市医師会・阿波歯科医師会・板野歯科医師会のご好意により提供いただいた原稿を掲載しています。

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