うちのお医者さん[171]筋トレとプロテイン

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市場町香美赤池循環器消化器内科　赤池唯人(あかいけゆいと)先生
筋肉を増やすためには、筋トレとプロテインが必須だと考えている人が多いと思います。しかしここで注意しなければいけないのは、近年急増しているCKD(慢性腎臓病)の存在です。恐らく自分がCKDであることに気づいていない方も多いのではないでしょうか。
人工的につくられたプロテインの市場は、近年急速に拡大しています。これらは、自然食品とは比べものにならないほどの大量のタンパク質が含まれています。自分の腎臓が悪いことを認識していない人が、このような高濃度のタンパク質を摂れば、腎臓に重大なダメージを与えかねません。人工的なプロテイン商品は、日々の食事から十分なタンパク質を摂るのが困難な人に限って、使用するのが適切ではないかと考えます。
筋肉をつけるために、筋力トレーニングは欠かせないものですが、その際には自然食品のタンパク質を摂りながら筋トレを行うのが、最初の選択肢です。自然食品から摂る分には、よほどのことがない限りタンパク質過剰摂取はありません。プロテインを使用するのは、普通の食事だけではタンパク質が不足してしまうような場合ですが、肉や魚、乳製品、卵、大豆製品などを日常的に摂っていれば不足するという人はごく少数でしょう。またプロテインであれ、自然食品のタンパク質であれ、それらを摂取するだけでは筋肉はつきません。運動(有酸素運動+筋トレ)を行うことが必須です。
筋トレで筋肉に負荷をかけると筋線維が損傷し、その後修復されるわけですが、この際に元に戻るのではなく以前より筋線維が太く強く再生されます。これを超回復と言いますが、この修復過程で、タンパク質を積極的に補充するのが効果的と一般には説明されています。だから筋トレ後には、プロテインをたくさん補充した方がいいと考えている人が多いようですが、自然食品から摂ったタンパク質や元々体に蓄えられているアミノ酸、更には筋トレで損傷した筋肉由来のアミノ酸も再利用されるため、実際には積極的な補充はほとんどしなくても大丈夫なのです。

このコーナーは阿波市医師会・阿波歯科医師会・板野歯科医師会のご好意により提供いただいた原稿を掲載しています。