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しまなみ農業だより

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愛媛県上島町

■カンキツの開花と管理
5月は、カンキツの開花期を迎えます。開花は、今年の果実の結実量や外観などが決定する重要な時期になります。今回は、カンキツの開花期の見立てによる生育や栽培管理について解説します。

◇1 カンキツの着花特性
常緑樹であるカンキツの花は、前年の春から夏に発生した果実をつけなかった緑枝に花が咲きます。例外としてレモンは2~3年前の枝に花を付けることがあります。花の量は、前年の果実の成った量に反比例して、豊作年の翌年は花の量が少なくなります。毎年、着花させるためには、剪定(春季)により春芽の発芽を促し、有効な着花数に調整し、夏季の摘果により果実数を制限して次年度に着花する条件を整えます。

◇2 花の種類と結実特性
カンキツ類の花の付き方は、大別して、葉の付け根から花が付く直花(じきばな)と新芽の先に花が咲く有葉花(ゆうようか)があります(写真1)。品種により花の付き方が異なり、1ケ所にひとつ花が付く単生花(たんせいか)と複数の花が付く総状花(そうじょうか)があります。総状花は、八朔やブンタン類、レモン等でよく見られます。直花は、結実割合がやや低く、開花が早く初期肥大がよいですが、後半の肥大が緩やかで大玉になりにくい性質があり、温州みかんなどに向く花と言えます。一方、有葉花は、開花時期がやや遅いですが、結実率が高く、後半の果実の肥大が旺盛で、大玉果実にする中晩柑類(紅まどんな、せとか、いよかんなど)に適した花と言えます。

◇3 開花期の栽培管理
(1)枝葉の管理
着花が多い時は、枝単位に花の多い枝をハサミで摘み取り花数を制限します。中晩柑類の「いよかん」や「はれひめ」などは、着花が極端に多くなると樹が衰弱してくるので花が多い場合は、5月上旬に花肥(はなごえ)として、10アール当たり、化成肥料1袋または硫安を施肥してください。また、着花が少なく発芽の多い樹では、着花している枝が日陰にならないように被さり枝などをハサミで切除し、着花している枝に日光を当てて結実を促すように整枝してください。まだ成長させる必要のある苗木では、定植3年生ころまでは花を除去して成長を優先し、4年生以降では、樹高の1/2以下に少しずつ着果させて樹が衰弱しないように注意します。

(2)開花期の病害虫防除
カンキツ類の開花期には、芳香に誘われて訪花してくる昆虫がたくさん見られます。昆虫の中には、果実となる子房(しぼう)に傷をつけてしまう、コアオハナムグリとケシキスイ類が主要な訪花害虫と呼ばれています(写真2)。
コアオハナムグリは、体長10ミリ内外の緑銅色の甲虫で、開花はじめから訪花し、果実に傷を付けます(写真3)。ケシキスイ類は、体長4ミリ内外の薄茶色の甲虫で花の内部に潜り込みます。ミツバチやクマバチの訪花も見られますが、子房に傷を付けることは、ほとんどありません。前記以外に、アザミウマ類という体長1ミリ内外の微細な昆虫が子房に傷を付ける種もいます。
これらの訪花害虫の防除は、開花期間が長いので、開花3分咲き頃と8分咲きの2回、農薬の散布が有効です。作業的に1回散布しか行えない場合は開花5分咲きころに防除して下さい。薬剤は、ロディー乳剤2000倍、エクシレルSE5000倍などが有効です。

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