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しまなみ農業だより

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愛媛県上島町

■ミカンサビダニについて
近年、夏の気温が異常に高く酷暑(こくしょ)という言葉をよく耳にしますが、こうした気象の変化は、カンキツ栽培では、日焼け果実の増加や害虫の異常発生が見られることがあります。年次により発生にムラがありますが大発生して大きな被害となることのある「ミカンサビダニ」という害虫について解説します。

◇1 被害
ミカンサビダニは、カンキツ類にしか発生しないダニ目フシダニ科の害虫で、昔からカンキツ類の重要害虫とされ、加害されると果皮が黒褐色に変色して外観を大きく損ないます(写真1参照)。一定の農薬散布を行えば被害が全果実に及ぶことはありません。前年に被害果が見られた園地では翌年にも被害が出る可能性が高いので注意が必要です。

◇2 発生の特徴
成虫の大きさは0.2mmと非常に小さく、肉眼では識別ができませんが、形体はくさび型をしています(図1参照)。高温下では短期間に生育(28℃で卵から成虫まで平均7.3日で成長)し、産卵数も増加(28℃下で1雌が30卵程度)することから、短期間に増殖します。虫が小さいので被害が出てから初めてミカンサビダニの発生に気づきます。最近の夏の天候は高温・少雨で経過することが多く増殖には好適条件となります。越冬は芽の隙間で行い、新芽が出ると葉の上で繁殖が始まり開花を経て果実に移動して果実上で一定以上増えると果皮が黒く変色してきます。被害は8月頃から10月頃まで見られ、最初は樹内の数個が黒く変色するので、園内を注意深く観察して初期発生を察知することが重要です。

◇3 防除法
本虫は農薬には弱く防除は容易です。ただし、農薬のかけムラや散布間隔が開きすぎたりすると思わぬ被害が発生することがあります。葉の上や幼果で繁殖中の6月~7月にていねいに農薬散布を行うことで被害が発生するほどの密度にはならないといわれています。8月以降は、定期防除を行い、被害果の発生が見られたら応急防除を行うことで大きな被害にはなりません。最近は他の害虫と同時防除ができる農薬が多く採用されているので、定期防除をしっかりと行えば被害に結びつくことはないと考えます。

◇表1 ミカンサビダニの年間防除体系(JAおちいまばり防除暦)

※詳細は本紙をご覧ください。

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