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しまなみ農業だより

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愛媛県上島町

■土壌酸性度と土壌改良
野菜や果樹の栽培暦や教科書には土壌改良剤として石灰質資材(苦土石灰やサンライムなど)を施用するよう書かれています。
農作物の栽培に、なぜ石灰質資材が必要なのか、今回は土壌改良としての石灰質資材の効能について解説します。

◇(1)土壌酸性度(土壌pH)
土を化学的に診断する指標として土の酸性度を土壌pHという数値で表わします。これは土に含まれる水素イオンの濃度を表すもので、酸性からアルカリ性に区分されます。土の母岩の性質や降雨の影響、化学肥料により土の中で化学変化により土壌pHが変化します。上島町を含む瀬戸内海沿岸に多い花崗岩の土は酸性傾向を示しやすく、雨水中に含まれる水素イオンや化学肥料に含まれる硫安や塩安などの酸性肥料が蓄積して土が酸性化します。逆に石灰のやりすぎ、雨水を入れないマルチ栽培や堆肥のなかには強アルカリ性のものがあり、連年施用によりアルカリになることがあります。土壌酸性度は土を見ただけではわらないので測定器で測らなければわかりません。

◇(2)土壌pHと作物の生育
農作物の多くは中性に近い弱酸性の土を好む作物が多く(表1参照)、好適な土壌pHから多少ずれても生育が極端に悪くなることはありません。しかし、土には生育に必要な養分が含まれ、強酸性や強アルカリ化により養分が土に溶け出しにくくなったり、過剰に溶け出して養分の欠乏や過剰となります(図1参照)。この状態が続くと、作物の成長不良や葉の黄化、果実の変形などの生育異常の原因となります。

▽表1 作物生育の好適土壌pH範囲

▽図1 土壌pHと肥料要素の溶解・利用度

◇(3)土壌pHの調整
土壌pHは徐々に変化する反面、すぐに矯正ができません。調整には土壌改良資材の施用が有効な方法として指導されてきました。
酸性土壌の矯正には、苦土石灰やかき殻石灰(サンライムなど)などpH調整効果がゆっくり現れる石灰質資材が使いやすく、強酸性土壌には即効性のある消石灰や生石灰を施用します。施用時期は、果樹類では一月から二月の休眠期、野菜類では植え付けの一ヶ月から二週間前がよいでしょう。
苦土石灰やかき殻石灰の酸性の調整能力は100kg/10aの施用で土壌pHを1上げる効果があります。アルカリ土壌では土壌pHを下げるため、過リン酸石灰や硫安、硫酸カリを施用しますが、上げるより下げる方が難しく、アルカリ化になった原因と考えられる石灰の施用を中止し、雨水を入れることから始めてみましょう。
土壌pHが適正であっても土壌の養分バランスやカルシウム補給のため苦土石灰やサンライムを毎年施用することは必要で、あわせて有機物の多い土は肥料成分の吸着力が強くなり弱酸性から中性を保ちやすくする働きがあるので、優良な堆肥や有機物を施用するとよいでしょう。

土壌pHの測定の希望がありましたら、しまなみ農業指導班岩城駐在所(【電話】75-2014)村上まで連絡ください。

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