文字サイズ
自治体の皆さまへ

しまなみ農業だより

14/30

愛媛県上島町

■カラスとヒヨドリの生態について
近年、農作物の野生鳥獣による被害が増え続け、イノシシを筆頭に鳥類によるカンキツ被害も多く見られています。品種が多様化し、越年品種の栽培が増えたことも被害の増加の原因と思われます。今回は、カンキツ類を加害するカラスとヒヨドリの生態について解説します。

◇1 カラス
国内に広く分布しているカラスは、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ミヤマガラスの3種がよく知られています。ハシボソ、ハシブトは留鳥で、ミヤマガラスは、冬に群れで渡来する個体が多いようです。分布はハシボソ、ミヤマは開けた平地を好み、ハシブトは林地や市街地を好むようです。いずれも黒色で青紫色の光沢があり、体色から識別は困難で、くちばしの大きさがハシブト≻ハシボソ=ミヤマの順に大きいことで見分けられます。また、鳴き声が、ハシボソ、ミヤマはガーガー・ギャーギャーとにごり、ハシブトはカーカーと澄んだ声で鳴くことが多いようです。繁殖期は、いずれも3月~6月、ハシボソ、ハシブトは一夫一妻で繁殖し「なわばり」意識が強く、巣に近づくと攻撃してくることがあります。非繁殖期も「つがい」で「なわばり」を保持し、「つがい」以外は群れで行動します。卵は雌が抱卵し20日程度でふ化し、35日ほどで巣立ちますが3ケ月程度は家族で行動します。ミヤマは、留鳥個体も見られますが、大部分は海外で繁殖します。行動は、夜間は竹林や林地に集団で「ねぐら」をとり、個体数は冬季に増えます。カラスは、鳴き声でコミュニケーションをとり社会性をもった行動や学習能力があるといわれています。好奇心が旺盛で、光るものや鏡などに興味を示し、くちばしでつついたりくわえたりする遊び行動をとることが知られています。エサは、木の実や昆虫や動物の死肉など雑食性ですが、ハシブトはハシボソに比べ動物質のエサを好む傾向が強いようです。食べ物はその場で食べずにくわえて移動し、木の枝や建物のすきまに蓄えて後で食べる貯食行動を行います。寿命は、7~8年といわれ、市街地近くで生活するカラスは、天敵のワシやタカに襲われることも少なく、エサにも事欠かかないため鳥類の中では長命です。

◇2 ヒヨドリ
ヒヨドリは、林地や市街地で姿を見ることのできる人間の生活圏に近い場所で生息する野鳥として知られています。ヒーヨヒーヨという鳴き声が名前の由来となっています。羽ばたきと、翼を閉じた滑空を繰り返す「波状飛行」という飛び方をするのも特徴です。日本のほか、朝鮮半島や台湾などでも見られる鳥ですが、世界的には分布が限られています。かつては、朝鮮半島から渡ってくる冬鳥でしたが、日本の気候に適応して年中姿が見られる留鳥となりました。夏は涼しい北で過ごし冬に南へ移動する個体もあるようです。食性は、果実、昆虫、花の蜜などを好み、時にはキャベツやブロッコリーの葉をついばむこともある雑食性です。繁殖期は、5月~9月と長く、木の上に10~20cmのお椀型の巣を作ります。産卵数は3~5個、2週間ほどでふ化しわずか10日ほどで巣立ちます。1回の子育てが終わると同じつがいが年に2~3回の子作りをすることも珍しくないようです。柑橘園には群れで飛来することもあり、果実を喫食するだけでなく爪やくちばしで果実に傷を付けることもあります。また、防鳥網やビニルハウスの少しの隙間からも入り込んでくるので注意が必要です。

◇2 被害防止対策
鳥類の被害防止効果が最も高いと考えられる対策は、防鳥ネットやサニーセブンなどのカンキツ樹を覆う資材や、果実をひとつずつ覆う果実袋やサンテ(ネルネット)が有効です。費用がかかるので町が実施している鳥獣害対策補助事業を活用するとよいでしょう。カラスに対してはテグス(釣り糸)を樹上に粗く張るだけで効果的ですが、ヒヨドリには効果はありません。音や光の反射資材による「おどし」は、慣れを生じやすいので効果が長続きしません。有害鳥獣駆除による捕獲駆除とあわせて自衛対策による被害の軽減を図りましょう。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU