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しまなみ農業だより

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愛媛県上島町

■カンキツ類の摘果
今年の温州みかんは、全般に花付きが多く豊作となる表年(おもてどし)となる予想です。カンキツ品種の多くは、果実をたくさん成らせ過ぎた翌年は不作となる隔年結果(かくねんけっか)と呼ばれる現象が見られ、最近は豊作と不作の格差が大きくなり安定生産の障害となっています。隔年結果の是正や品種の特徴を発揮するカンキツ生産に摘果作業はかかせない作業です。今回はカンキツ類の摘果について解説します。

◇1 摘果の効果
摘果を行うことで、(1)果実肥大の促進(小玉化対策)、(2)果実の食味向上(増糖と減酸)、(3)隔年結果の是正などの効果が期待されます。特に結果過多樹では樹勢の低下が心配されるので必ず行いましょう。摘果の目安に葉果比(ようかひ)として書かれていますが、1果の成長に必要な葉数のことです。ただ、葉数を数えることは難しく実際は感覚的に行います(表1参照)。

▽表1 カンキツ主要品種の摘果時期と目安

◇2 摘果の時期
品種の特徴により目標とする果実の大きさはさまざまですが、大玉の中晩柑類は、肥大率の大きい幼果の早い時期から摘果を行うと効果的です。カンキツ類は開花の1か月後頃までは生理落果という小さな実が黄色くなって落ちる時期があります。摘果を始める目安は、生理落果が終了する6月末頃からあら摘果を開始し、ある程度果実が大きくなってから仕上げ摘果を行ないます(表1参照)。

◇3 摘果の方法
摘果は一度に行わず、「あら摘果」と「仕上げ摘果」に分けて見残し果実がないように数回に分けて行います。特に新芽の少ない表年樹では、粗摘果により着果負担の軽減を図るため樹の上部や内・裾枝の果実を全摘果します。不作樹はあら摘果を行いません。摘果の方法は、枝に付いた果実を数個とる「間引き摘果」と枝単位に果実をすべてとる「部分全摘果」があります。「間引き摘果」は樹全体に均一に着果させる方法で中晩柑類に適します。「部分全摘果」は着果の多い表年樹で成らす枝と成らさない枝を半々に作る方法で、成らす枝には成らさない枝の分まで着果させます。温州みかんやはれひめなど、やや小ぶりな果実の品種で行う摘果方法です。
摘果で取る果実は、品質の上がりにくい内・裾(すそ)の日陰果や樹勢低下に影響する樹の上部の果実、奇形果、傷果、塊ってなる果実の間引きが中心になります。まだ成長途中の若樹では先端から1/2から1/3の果実はすべてとり成長を促しつつ果実を収穫します。また、残す果実の目安として品種により実の付き方で判断します。果実の付き方は、大きく分けると直花果と有葉果があり(写真1)、直花果は、後期の肥大が緩やかで温州みかんなどに向きます。有葉果は果実肥大がよく大玉の中晩柑類に向いています。しかし、樹勢の影響により品種に適した果実でなくても傷や肥大に問題が無ければ成らせても差し支えありません。レモンは摘果を行なう産地もありますが、収穫時期が長く積極的に摘果を行なう必要はありません。摘果は品種に適した着果量や成らせ方があります。紙面で記述しきれていないので詳細は指導機関にご相談ください。

※カンキツ類のご相談、園地見学のご希望があれば、しまなみ農業指導班岩城駐在所(【電話】75-2014)まで、お気軽にご連絡ください。

※詳細は本紙をご覧ください。

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