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かみじま郷土話 27

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愛媛県上島町

■生名島の奥平久兵衛(おくだいらきゅうべい)さん
小説家の村上元三の作品に「貉(むじな)と奥平久兵衛」という小説があります。地元の百姓に神通力を持つとして祀られる源太という貉と、江戸時代の松山藩家老の奥平久兵衛が登場する時代小説です。久兵衛は多くを望まない性格の人物でしたが、屋敷に源太が住み着いたことから、自分には神通力がついていると勘違いして気が大きくなり、やがては権力を望むようになってライバルを追い出すなどの暴走を始めるというお話です。
久兵衛さんは実在の人物で、寛保元年(1741年)に松山藩で久万山騒動という百姓一揆が起こった責任を問われて遠島処分となり、生名島にやってきました。生名島の人々の言い伝えでは、久兵衛さんは勉学や武芸に秀でた豪気な人物とされ、流罪となった生名島の居宅で島の子どもたちに学問や武芸を教えて平穏に過ごし、島民から慕われていたそうです。しかし、生名島に来てから8年がたった頃、久兵衛さんはその生涯を終えました。理由は、自刃したとも刺客に襲われたともいわれています。
お墓は生名島の正福寺に建てられており、昭和45年には、久兵衛さんの子孫や有志により久兵衛さんの石像も造られています。文武両道であった久兵衛さんのお墓にお参りをすると試験に合格するという言い伝えがあり、多くの受験生がお参りに来たそうです。

担当:生涯学習課 曽根大地

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