■柿の整枝・剪定
柿は家庭果樹として畑や宅地の隅に植えられることが多く、樹齢が長く、放っておいても生育し続けて大木になる丈夫な果樹です。粗放栽培でもある程度の実はなりますが、隔年結果や高いところに実が付く高木となることが欠点です。低い位置に毎年、安定して実を付けるには剪定(せんてい)が重要な作業になります。今回は、柿の剪定について解説します。
〔1〕柿の結果習性・生育特性
柿の結果習性は、前年枝から春に発生する新芽に花が付く結果母枝(けっかぼし)型の果樹で、枝の先端の3芽程度から出る枝にしか花が付きません(図1参照)。そのため枝先を切ってしまうと花がつかないので気を付けましょう。また、柿は日当たりを好み、日光が当たる枝からは芽がよく出ますが、日陰になる枝は衰弱してすぐに枯れてしまいます。枝の成長は先端から出る芽ほど強い頂部優勢(ちょうぶゆうせい)性が強いため、幹が直立して樹高が高くなる性質があります。そのため、放任樹では枝が外へ伸びやすく下垂しては日陰になり内裾に枝が少ない樹形となりがちです。
〔2〕剪定の手順
剪定時期は2月~3月上旬頃に行います。樹形の基本形は3本の枝(主枝)を立たせて横枝を配置する開心自然形が樹高を低く保て、受光体制がとれる枝配置になるような樹形に整えます(図2参照)。(1)木の全体を見て、枝が重ならない方向に立枝を3本程度選びそこから横枝を配置します。樹高が高い木は2~3年かけて樹高を切り下げるとよいでしょう。(2)柿は光要求量(ひかりようきゅうりょう)が高い果樹のため各枝に日が当たりやすくするため主枝や亜主枝の先端を頂点にして二等辺三角形になるように枝の配置を心掛けましょう(図3参照)。(3)実をつける側枝は充実した斜め上向きの枝を選び、先端は切らずにまばらに配置し、周辺の枝は基部から間引きます。特に外周の下垂枝を切り、水平からやや上向き枝の側枝に更新を行いましょう(図4参照)。
〔3〕柿の剪定の注意点
品種により枝の出る角度が異なります。甘柿は枝角度が広く、渋柿は枝角度が狭く立気味に生育します。太い枝を切る際には柿は切り口から枯れ込みやすいので切り口にはトップジンMペーストなどの癒合剤(ゆごうざい)を塗布するとよいでしょう。
安定した着果を得るためには充実した結果母枝の確保が重要で、摘果や枝先を切り返して芽だけ出させる予備枝を作るなどの着果調整が必要です。既に大木になっている木は徐々に樹高を下げて幹に光が当たれば新芽が出やすくなるので数年かけて樹形を作り直すとよいでしょう。
※詳細は本紙をご覧ください。
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