■自主企画展「顕神の夢―幻視の表現者―村山槐多、関根正二から現代まで」(3)
O JUN(1956年生まれ)は、作品を制作するということを「画家や彫刻家の労働は単純にモノに圧力を加えることだ。その結果、表面に何某(なにがし)かの跡をつける」と表現しています。作品制作の「行為」を客観的に表すと、「モノに圧力を加える」という一言に集約されてしまいます。O JUNの言葉は、次のように続きます。「与えた熱量とモノに現れた変形は互いを象(かたど)る跡として交換されたことになる」。作者が込めた「熱量」により、「モノ」は「作品」へと変容していくのです。
この言葉は、舟越直木(1953〜2017)へ向けて記されました。本展に出品している直木の人物ドローイングは、シルエットのみで表現されていたり、瞳が描きこまれていなかったりと、どこか不思議な気配を漂わせています。直木は「あるときから作品が、/声として存在しはじめるときがある。/僕はその声に対する耳なのだ。」と述べています。作者の行為から「モノ」は声を上げ始め、それを聞き逃さないことで、見た人に働きかける「作品」になるのです。(品川)
▽学芸員のつぶやき
前期展示は11月26日まで。約30点が展示替えになりますので、どうぞお見逃しなく!
問い合わせ:久万美術館
【電話】21‒2881【HP】http://www.kumakogen.jp/site/muse/
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