■ツヤハダクワガタ
気温がどんどん下がり、多くの虫が活動できなくなるこれからの季節。みんなの人気者、クワガタムシは朽ち木の中など、温度変化の少ない場所で冬を越します。多くの種が初夏には活動を再開しますが、今回紹介するツヤハダクワガタは、約2年の一生を朽ち木の中で過ごし続けます。秋に羽化し、そのまま朽ち木の中で繁殖するために、野外に出てくることはほとんどありません。
石鎚山など標高千m以上のブナが生える森林に生息しますが、標高800mほどの面河渓でも見つかっています。探し出すのは至難の業。まずは「赤枯れ」と呼ばれる赤く腐った倒木を見つける必要があります。赤枯れの中でも、手斧でやっと割ることができるほど硬い材の中にすむため、見つけ出すのはかなり骨が折れます。しかも、暑さに弱く、20℃以下の環境で飼育しないとすぐに弱ってしまうため、長生きさせるのも簡単ではありません。
4カ月に渡って続いた特別展「怪物昆虫」も残すところあと数日となりました。大きな頭に黒光りする体、なかなか見ることのできないツヤハダクワガタ、展示でぜひご覧ください。(安田)
▽学芸員のつぶやき
最大でも体長20mmほどで大アゴも小さく、知らないとクワガタと思えない見た目をしています。生きた個体を展示しようと探し回りましたが、残念ながら見つかりませんでした。
問合せ:面河山岳博物館
【電話】58‒2130【HP】http://www.kumakogen.jp/site/omogo-sangaku/
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