■自主企画展「顕神の夢―幻視の表現者―村山槐多、関根正二から現代まで」(4)
中園孔二(1989〜2015)は、25歳で亡くなるまでの約9年間で約600点の作品を制作しています。中園にとって絵を描くことは特別な行為ではなく、生きていくために必要不可欠なことだったのでしょう。
中園は自身のノートに次のように記しています。
絵を描く時には、その絵に置き換えるべき大きな流れのようなものが、私の外にあって、それを、見つけることができたときに、その流れを、手を動かしながら、見失なわないように、ただ見ていてやるというような立場として、私は絵の前に立って、絵ができあがるのを、待っているような気持ちでいます。描かれていく物語は、私が決めるのではありません。(ノートより)
2012年制作の「無題」では、人物の頭部と胴体が分離し、首から血のようなものが噴出しています。手首、足首も同様ですが、緑や紫で表現されています。人物はデフォルメされているからか、凄惨な印象はありません。
中園は、「何が描かれているのかは、そんなに重要じゃない」と述べています。キャンバスを前にして、「頭に降って」きたものを描くことで、「絵」という「物語」が完成しているのです。(品川)
▽学芸員のつぶやき
中園孔二の作品を目的に来館する方も多く見受けられます。特に若い方からの注目度が高い作家のひとりです。
問合せ:久万美術館
【電話】21‒2881【HP】http://www.kumakogen.jp/site/muse/
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