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川瀬歌舞伎衣裳類について

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愛媛県久万高原町

昨年12月、観音寺市を中心に活動する観音寺太鼓台研究グループが来町し、下直瀬伝統文化保存館・下直瀬ふれあい館で、川瀬歌舞伎保存会(渡邉浩二会長)が所有する衣裳類の調査を行いました。
このたび、尾﨑明男さんと横関智也さんらグループの中心メンバーが、川瀬歌舞伎保存会に調査成果を届けるため再訪されました。
その際にお話を伺いました。(聞き手は学芸員の遠部)

聞き手:今回の調査お疲れ様でした。調査成果についてお聞かせください。また、歌舞伎についても教えてください。
横関:歌舞伎は皆さんご存じだと思いますが、農村歌舞伎は「地芝居」「村芝居」とも呼ばれる江戸〜明治時代に農民によって行われていた素人歌舞伎のことで、その伝統を現在に継承、または復活させた歌舞伎も含まれます。
最近、四国では小豆島農村歌舞伎が国の重要無形民俗文化財に指定されることが報道されましたが、農村歌舞伎そのものは日本文化を代表する素晴らしい芸能です。

聞き手:ありがとうございます。皆さんはどのような活動をされているのでしょうか。
尾﨑:私たちは主に太鼓台を研究しているグループで、太鼓台の装飾のデザインが歌舞伎等をルーツとするものではないかと考えています。ところが、それを調べようとしたところ、意外と古い衣裳が残されておらず、現役の農村歌舞伎を演じる団体で衣裳保管しているのは、愛媛県内では川瀬歌舞伎のみです。

聞き手:川瀬歌舞伎保存会が保管している衣裳は貴重なわけですね。
横関:100年以上前の昔の貴重な衣裳類の数々が、このように大事に保管されていることが大変素晴らしいです。地域に伝わる先人からの文化を、地元の方々が大切に受け継がれてきた強い思いも、この貴重な衣裳類とともに遺されていると思います。
尾﨑:今回は写真撮影を主として、川瀬歌舞伎保存会が保管されている衣裳などの全体像を把握するという作業を行いました。
渡邉:その成果をこのような形にまとめていただき、川瀬歌舞伎保存会としても大変ありがたいです。

聞き手:今回の調査で、特に注目すべき古衣裳を紹介してください。
龍の描かれた衣裳などは見応えがありますね。目玉の部分が特徴的です。
切付け(アップリケ)や刺繡をふんだんに用いた羽織と、豪華な龍の金糸刺繍をあしらった俎板(まないた)帯(共に花魁(おいらん)役が着用したと思われる)にも注目しています。
これらの豪華な衣裳は、東予地方や香川県西部のきらびやかな太鼓台刺繡との共通点が認められるものです。
尾﨑:地(農村)歌舞伎と太鼓台文化との関連を探求している私たちには、遠く離れた双方の伝統文化に共通点が認められるということが確認でき、とてもうれしく思います。

聞き手:今回、遠方から来られた鈴木一宏さんからもコメントをお願いします。
鈴木:大阪から参りました。歌舞伎衣裳ですが、5、6点古いものがありましたが、ものすごく貴重ですね!他地区の古い衣裳と共通点があるのではないかと思います。
旧川瀬村には歌舞伎小屋はなかったようですね。私の実家はお寺なのですが、江戸時代は境内で芝居が行われていたようです。下直瀬の八幡神社は拝殿が広いので歌舞伎もできそうですね。
渡邉:少し残念なのが、鍾馗(しょうき)模様四天が現在見当たらないことです。少なくとも平成21年までは確認できたみたいなのですが…。川瀬歌舞伎保存会としても、引き続き捜していこうと思います。

聞き手:今後の活動予定などを教えてください。
尾﨑:県内の関連しそうな衣裳類を調べることで、川瀬歌舞伎の衣裳について、またいろんなことが分かると思いますので、調査を続けていきたいと思います。
横関:小豆島の農村歌舞伎の指定など、こういった伝統芸能は現在再評価されていますので、保存措置などが大切だと思います。
渡邉:地元で活動する私たちとしても今回の調査成果などをさまざまな形で伝えていき、記録化を含め残していく作業をせねばと考えています。今後とも、ご協力をお願いします。

問い合わせ先:久万高原町教育委員会
【電話】21-0139

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