■久万美コレクション展 新たな一歩 愛媛現代美術家集団の軌跡―3
愛媛現代美術家集団(通称・現美)の結成大会に来賓として出席した人物の一人に、坂本忠士(1918〜93年)がいます。彼はシナリオライターや劇作家として知られる松山市出身の人物です。1951年に松山に帰郷後、NHK松山放送局のラジオ劇場などの脚本を長期にわたり手掛け、地方の放送文化に目覚ましい功績を残しました。また、「松山文化団体連絡協議会」を立ち上げ、機関誌『季刊えひめ』にて伊丹万作や柳瀬正夢ら愛媛の文化人の顕彰に努めました。
坂本は晩年、松山市大街道で「田都画廊」という画廊を経営していました。「田都」とは「平安時代、荘園・公領の田畑を耕作し、年貢・公事を納めた農民」(大辞泉)を意味します。田と都という、正反対の意味合いを持つ言葉の組み合わせに惹かれ、画廊の名前に選んだのです。
田都画廊には、かねてより親交のあった洲之内徹(松山市・1913〜87年)からの助言を得た作品も所蔵されていました。本展覧会では、坂本氏のご遺族より寄贈を受けた作品群も展示しています。(本田)
▽学芸員のつぶやき
田都画廊由来の作品の中には、砥部焼の名工で知られる工藤省治の水彩画などもあります。
問合せ:久万美術館
【電話】21‒2881【HP】http://www.kumakogen.jp/site/muse/
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