■小児の慢性腎臓病(小児CKD)
今治市医師会 手塚優子
慢性腎臓病(CKD)とは腎臓の障害が慢性的に続いた状態をいいます。検尿や血液、画像検査での異常や、腎機能低下が3か月以上続くときにCKDと診断します。腎機能はGFR(糸球体濾過量(しきゅうたいろかりょう))で表され、2歳以上で、ステージ1(GFR90以上…正常)、ステージ2(60~89…軽度低下)、ステージ3(30~59…中等度低下)、ステージ4(15~29…高度低下)、ステージ5(〈15…末期腎不全)に分類されます。
ステージ3以上の児は10万人あたり約3人といわれ、その原因の約6割は先天性の腎尿路における形態異常です。これらは学校検尿での早期発見は困難です。発症初期は症状がほとんどないことも少なくありません。ステージが進行すると食欲不振、貧血、むくみ、息切れ、体がだるいなどの全身症状がみられますが、小児では成長障害もみられます。血圧の管理や骨・成長障害などの合併症の管理を行い、腎機能障害の進行を抑えてゆくためにも、早期にCKDを見つけることが大切です。
今治市では、2024年度から小児生活習慣病予防検診において血清クレアチニンを測定し、GFRによる腎機能低下のスクリーニングを開始しました。陽性の児には、腎尿路の形態異常がないか超音波検査を行い、他の血液検査項目とあわせて腎機能を評価します。血清クレアチニン値は筋肉の影響や脱水の状態などで変動することもあります。検診で指摘されましたら、専門の医療機関への受診をお勧めいたします。
※このコーナーの記事は今治市医師会広報委員会のご協力によるものです。
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