■便潜血(べんせんけつ)検査について
今治市医師会 平林 卓(たく)
便潜血検査をご存じでしょうか。がん検診の一環として行われている便潜血検査は、便中の血液成分の有無を調べる検査で、肉眼的に認識困難なごく少量の出血を検出することができます。便の採取のみで実施できる、非常に簡易で非侵襲的(ひしんしゅうてき)な検査です。便潜血検査陽性であった場合、痔疾患が原因であったり、原因が同定できない場合もありますが、2〜3人に1人は大腸ポリープが、100人に2〜3人は大腸がんがみつかるとされています。
大腸の検査には、大腸内視鏡検査、バリウム検査、カプセル内視鏡検査、CT検査等、さまざまな有用な検査がありますが、5ミリ以下の大腸がん・ポリープを見つける点においては大腸内視鏡検査が最も優れているとされています。そのため、便潜血検査陽性であった場合には放置することなく、まず大腸内視鏡検査が可能である医療機関を受診することをお勧めいたします。
また、大腸疾患以外に胃や肝・胆・膵病変からの出血の可能性もあり、上部消化管内視鏡検査、腹部超音波検査も受けられることをお勧めいたします。なお便潜血検査陰性であったとしても、便潜血検査の大腸がんに対する感度は53〜100%と振れ幅があり、大腸がんの存在を否定できたわけではありません。
大腸がんは40歳より増加し、高齢になるほど罹患率が高くなると言われています。早期大腸がんはほとんどの場合自覚症状がありませんので、便潜血検査陽性であった場合にはできるだけ早く大腸内視鏡検査を受けることが必要です。
※このコーナーの記事は今治市医師会広報委員会のご協力によるものです。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>