■ジョンソン アンドリュー・ブレイディ
ジャックと悪魔、そして蕪。
10月になると、私の好きな祝日がやってきます。それは、ハロウィーンです。鮮やかなオレンジ色のカボチャをくり抜いて作る「ジャック・オー・ランタン」も大好きです。
さて、みなさんは、この「ジャック・オー・ランタン」の原型はカボチャではなく、カブ(蕪)から作られていたことをご存知でしょうか?なぜかって?それは、次のような不気味なハロウィーンのお話に由来しています。どうぞお聞きください。
それは、遥か昔のアイルランドの民話から始まります。そこにジャックという名の若い男がいました。ある時、酔っぱらいのジャックはパブからの帰り道、道に迷ってしまいました。街をさまよっているうちに、気がつくと悪魔に追われていました。頭の回転の速いジャックは、悪魔をだまして木に登らせ、幹に十字架の印を刻みました。悪魔は神聖な印を越えることができず、木から降りられなくなりました。狡賢いジャックは、自分が地獄に行かなくてよいという保証と引き換えに、悪魔に自由を与えました。地獄に行く恐怖から解放されたジャックは、放蕩と怠惰の限りを尽くしました。やがてジャックがこの世を去る時、悪魔は約束を守り、地獄に落ちるのを防ぎました。しかし、罪人が天国に入ることを許さない神様が、ジャックの天国入りを拒みました。来世への入場を禁じられたジャックは、どこへ行くこともできず、さまよううちに、妙な寒さに襲われていました。それを見た悪魔は、気まぐれな憐憫の情に駆られ、ジャックに一本の燻る石炭を投げつけました。ジャックはカブをくりぬいてその中に石炭を入れ暖を取りました。そして、ジャックはそのランタンを片手に大地をさまよい続け、今日に至るまで休む場所を必死に探しているというお話です。
今年のハロウィーンには、私たちが彫ったランタンを眺め、その幽玄な温もりに触れるためにジャックが訪ねてくるかもしれませんよ。
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