■人権に関する用語の基礎知識 その(4)「ハンセン病」
十一月末に「第七十五回全国人権・同和教育研究大会」が熊本市にて開催されました。本町からは、学校教育や社会教育の分野で人権教育に携わる十九名が参加しました。初日午前中の全体会は参加人数制限があり、全体会に参加できなかった十七名で、市内から三十分ほどバスを走らせて、「菊池恵楓園」を訪問しました。「菊池恵楓園」は国内に十三か所ある国立ハンセン病療養所の一つです。その歴史資料館の展示や園内の施設を見学し、ハンセン病の歴史やその差別の現実について学びました。
みなさんは、「ハンセン病」をご存じですか。
ハンセン病とは、らい菌と呼ばれる細菌に感染することによって皮疹(ひしん)や抹消(まっしょう)神経障害を引き起こす病気のことです。現在は有効な治療薬が開発されており、日本では、発病する人や感染する人はほとんどいません。このハンセン病という病名は、らい菌を発見したノルウェーの医師、アルマウェル・ハンセン氏の名前に由来しています。
一九三六年、国は「らい予防法」を制定しました。これにより、ハンセン病患者の隔離政策が始まりました。この時代、ハンセン病は恐ろしい伝染病だと考えられており、感染者やその家族に対しては、厳しい差別の目が向けられました。
一九九六年になって、ようやく「らい予防法」が廃止され、隔離政策は終わりました。国は、ハンセン病元患者らに補償を行う法律を作り、彼らの名誉回復や社会復帰支援、ハンセン病問題の啓発活動に取り組みました。しかし、隔離の法律が無くなったからといって、差別が無くなったわけではありません。ハンセン病のことをよく知らずに、「うつる病気」、「恐ろしい病気」だと思っている人たちもおり、元患者らへの差別はいまだに残っています。過去には熊本県内のホテルでの宿泊拒否事件なども、大きなニュースになりました。
現在、菊池恵楓園には一四〇名ほどの元患者の方々が生活されています。入所者の平均年齢は、八六歳だそうです。後遺症のために、介護や看護を受けている人も増えているとのことでした。
今回の訪問で、自分自身がハンセン病のことを十分に理解していなかったことを痛感しました。何ごとも正しく学んで深く理解することが大切だと再認識しました。
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