■「冠婚葬祭のお菓子」
「ツルカメ」や「ソウシキマンジュウ」をご存知でしょうか。30年程前まで、佐田岬半島の結婚式や葬式で欠かせなかったあのお菓子です。
ツルカメは寒梅粉(米粉の一種)と白あんなどを混ぜた生地で餡子(こしあん)を包み、木型に入れて成型し、色を付けた和菓子。見た目はそのお店の木型によって異なりますが、その多くは折箱に「寿」と書かれた大きな羊羹やダイビキ(紅白のかまぼこ)などと一緒に詰めて、配っていました。
ソウシキマンジュウは葬式や仏事で配られた唐草模様のついた饅頭。こしあんの入った饅頭に焼き鏝などで唐草模様をつけました。米田本舗(湊浦)や中村製菓(三崎)では1つずつ模様を付けていましたが、冨士美堂(九町)では、唐草模様のついた大きな鉄板に、蒸したての饅頭10数個をのせて押し付け、一度に多くの饅頭に模様を付けていたそうです。また、ソウシキマンジュウと一緒に箱に入った砂糖が配られることも多く、砂糖が少なかった時代、葬式や仏事は甘い物を食べられる貴重な機会でした。
結婚式や葬式に欠かせないツルカメとソウシキマンジュウでしたが、式場が結婚式場や葬祭場に代わると次第にその姿を見ることは少なくなりました。甘いあのお菓子と結婚式・葬式の様子を忘れられない方も多いのではないでしょうか。
協力:中村製菓、冨士美堂、米田本舗
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