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自治体の皆さまへ

地域で守り育てる公共交通。―ここで暮らし続けるために―

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愛媛県八幡浜市

■私たちの生活と公共交通
生活のための移動手段といえば何が思い浮かびますか?
マイカーやバス、タクシー、鉄道。
バスやタクシー、鉄道などの公共交通はマイカーを利用できない人々にとって必要不可欠なもので、日常生活を支える重要な移動手段です。しかし近年、従来の仕組みではサービスを維持することが難しくなってきています。また、マイカーは運転免許証を返納した後や予期せぬ形で運転できなくなる日がやってくるかもしれません。その時、公共交通がなくなっていたら…。
今月の特集では、そういった問題に直面した地域で公共交通を守り育てようとしている人々と、公共交通の研究・利活用の提案などを行っている学識者に話を聞きます。

◆NPO法人 にこにこ日土
理事長 萩森敏久さん
にこにこ日土は平成20年3月に設立され、同年6月から運行が開始されました。路線バスが段階的に減便・廃止となっていく中、地域の交通手段をどのように確保していくか平成19年に話し合いがされ、NPO法人として公共交通空白地有償運送事業(住民等の日常生活における移動手段を確保するため、国土交通大臣の登録を受けた市町村、NPO法人などが自家用車を用いて有償で運送する仕組み)を実施しています。

○何気ない日常会話を通して
私たちは利用者さんとの何気ない日常会話を大事にしています。
「もう車の運転はできんから、このバスがないと病院に行けん」
「車でおしゃべりできることが楽しい」
「最近、ご主人はどんな?」
同じ地域に住んでいるからこそ家族のことなども話せる関係性が築けるのだと思います。
利用者は以前より減っていますが、必要としている人がいる限り、この地域のつながりを大事にしてにこにこ日土の事業を続けたいです。

◆双岩若山区長 中川直(ただし)さん
○利用率を上げていきたい
路線バスの無い若山地区では、乗合タクシーの活性化に力を入れています。
社会福祉協議会の※第二層協議体「福寿草」の皆さんが企画した、実際に自分たちで公共交通を利用する体験ツアーなどの活動報告を聞いて、移動問題を痛感しました。
私たちはいつ車に乗れなくなるか分かりません。そのためにも乗合タクシーはなくてはなりません。
地区住民へのアンケートや声かけを通して、まずはこの問題を知ってもらい、みんなで利用していくことで利用率を上げていくことが重要です。

※地域住民の皆さんや地域の各種団体や企業・団体が集まり、地域の課題やニーズについて話し合う場

◆弘前大学客員研究員、モビリティプロモーション代表
「バスぷら博士」こと 大野悠貴さん

○どのように自分たちの地域で暮らしたいか
私は全国各地でバスをはじめとする公共交通のPR施策や地域のおでかけ環境を改善するための実践・研究に取り組む傍ら、『日々の暮らしに「バス」をちょい足し(=「プラ」ス・アルファ)していただく』をコンセプトに、「バスぷら博士」として地域や学校に出向いたワークショップや講演なども行っています。
ニュースなどで報じられている運転手不足をはじめ、日本の公共交通は今までにないほど厳しい状況にあります。
言い換えれば、「今、どのようなおでかけをしたいのか」「どのように暮らしたいのか」が、地域に問われているとも言えます。この問いに行政や交通事業者は答えられません。住む人・使う人だからこそ答えることができます。
その地域にどんな移動サービスが必要なのか?その移動サービスをどうやって守り育てるか?どれくらい負担できるのか?それを考えるには、住む人・使う人がいないと始まりません。
車の運転ができるから、今は困っていないかもしれません。しかし、いつか運転免許証を手放す時がきます。その時、便利な都市部であっても、公共交通に移行できないという研究結果があります。車社会だからこそ、車以外の色々な移動手段を使いこなすための「準備運動」が必要なこともわかってきました。
生まれ育った地域で安心して暮らし続けるためには、公共交通を自分自身で「利用」するだけでなく、誰かが使えるように手助けをしたり、誰かが使う機会を作ったりといった公共交通を「活用」することも、一人ひとりができる移動問題の解決策なのです。

■おでかけセミナー
10月12日に開催したセミナーの様子はこちらからご覧ください
※詳しくは本紙をご覧ください。

■八幡浜市公共交通マップをご活用ください!
市内在住の方だけでなく、観光で来られた方にもおすすめ♪
デジタル版はこちらから
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