文字サイズ
自治体の皆さまへ

〔特集〕国際交流で広がるまちづくりの輪(1)

3/36

愛媛県内子町

内子町国際交流協会は10月、設立30周年の節目を迎えます。
古い歴史的な建物の保存がまだ新しい考え方だった昭和61年、「世界一美しい」と称される町並みを守るドイツ・ローテンブルク市からオスカー・シューバルト市長(当時)を招いて「内子シンポジウム’86」が開かれました。イベントを機に、町民レベルで国際的な交流を深め、まちづくりを担う人材を育てようという機運が広がりました。そして多くの町民や企業から寄せられた寄付をもとに、平成6年10月に財団法人として同協会を設立。以来、さまざまな国際交流事業を展開しています。
今回の特集では、同協会の事業の柱である青少年海外派遣に関連した「国際交流協会30周年記念事業」の取り組みを紹介します。国際交流が派遣生に、そして私たち町民に与えてくれるものを振り返ってみます。

■30周年記念事業(1) 海外派遣団交流会
派遣から広がる交流の輪
海外派遣事業の歴代参加者などを招いて「内子町青少年海外派遣団交流会」が8月17日、共生館で開かれました。派遣生OB・OGや各回の派遣団団長、引率者など約60人が参加。協会設立30周年の節目を祝うとともに、懐かしい顔ぶれとの再会を喜びました。

平成7年に第1回の派遣団がローテンブルク市を訪れて以来、これまでに320人の中高生が同市などを訪問。約10日間にわたる異国での体験を通して国際感覚を養うとともに、市民との触れ合いを通じて友好関係を深めてきました。
同協会の小野植正久(まさひさ)理事長が「私も団長として6年前にローテンブルク市を訪れ、日本との違いを実感した。美しく整備された町の景色、環境への配慮、教育や医療など学ぶところは多い。皆さんもそれぞれの気付きや思いを語り合う機会にしてほしい」とあいさつ。続いて内子町の国際交流員(CIR)として同市との交流に長年尽力したドレーン・アルントさんの発声で、ドイツ語で乾杯を意味する「プロースト」の掛け声で皆さんとグラスを掲げました。
会場ではドイツ料理が振舞われた他、現地の様子を写真や映像で紹介。参加者同士で当時のホストファミリーとの温かなふれあいを振り返ったり、海外派遣がきっかけで英語教育に携わることになった近況などを報告したりして、それぞれの思い出と学びを共有しました。

◆Interview
気持ちが通じ合えたファミリーとの交流
山岡沙衣(さえ)さん[上宿間]

第21回派遣団として参加しました。ホームステイが心に残っていて、私が楽器が好きだと伝えたら、ホストファミリーで同い年の子が「一緒にやろう」とレッスンに誘ってくれました。英語はあまり話せなくても、楽譜と、人への思いやりの気持ちは同じ――。優しいファミリーとのすてきな交流ができました。世界の見え方が変わると思うので、これから行く人にもドイツや日本の良さをたくさん感じてほしいです。

◆海外派遣で得たものを積極的に発信してほしい
内子町国際交流協会
専務理事 大森希世(きよ)さん

国際交流協会の活動の中でも、海外派遣事業はメインとなる活動の一つです。毎年多くの中高生から応募がある中で、作文や面接試験を経て、研修への意欲や知識、表現力などを総合的に判断し、毎年10人程度を派遣しています。コロナ禍で中断して以降、今年は5年ぶりに派遣団を結成しました。内子町とローテンブルク市との友好関係を今後も続けていく上でも、30周年の節目に派遣を再開できること、またOB・OGたちと交流し派遣の意義を再確認できたことも、とても意味のあることだと感じています。
2014年の第20回派遣団の引率としてローテンブルク市を訪問しました。団員にとって現地の市民との交流はやはり特別な経験で、特にホストファミリーとの別れの日には涙、涙――。「両市町の友好を深める」という事業の大きな目的を成し遂げられたと思える瞬間です。今回の交流会でもたくさんの思い出を聞くことができました。OB・OGの皆さんには、派遣で感じたこと、その経験から気付いた内子町の良さを積極的に発信してほしいです。壮大なことでなくてもいい、それぞれが感じたタイミングでいいと思います。心の中にとどめておくだけではもったいない――。皆さんの声が何かの形で、きっと内子のまちづくりの力にもなるはずです。
30周年の節目に今後の協会活動を考えたとき、より長期的な展望を持つことも必要だと感じます。コロナ禍を経て社会活動がさまざまに変化している今、いいものを残しながら、ニューノーマルを踏まえてアップデートするのも大事。記念事業では今後も講演会や、在住外国人も含めた集いの場などを開く予定です。多くの人と関わりを広げ、深められる交流の機会を、まちの皆さんに提供できればと思います。

○海外派遣日程の例
1日目 内子町発→ローテンブルク着
2日目 ホストファミリーと過ごす
3日目 市長表敬訪問、町並み保存学習
4日目 学校訪問、クリスマスクッキー作り
5日目 ヴュルツブルク見学
6日目 特別支援学校訪問、警察署訪問
7日目 ハイデルベルク見学
8日目 マインツ、フランクフルト見学
9日目 フランクフルト発
10日目 内子町着

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU