文字サイズ
自治体の皆さまへ

〔特集 Special Feature〕365日(イツモ)地震に備える(1)

3/34

愛媛県内子町

――キモチが変われば災害時の行動が変わる――

1月1日、最大震度7の巨大地震が能登半島を襲いました。約5カ月経った今でも3400人を超える人が避難所生活を送っており、2100戸以上で断水が続いています。(「石川県ホームページ」より…5月23日時点)
4月17日には豊後水道地震が発生し、愛媛県と高知県で最大震度6弱を観測しました。内子町では震度5弱の揺れが起こり、今まで経験したことのない大きな揺れに危機感を感じた人も多かったのではないでしょうか。
自然の猛威は私たちの想像をはるかに超えてきます。大地震は私たちのまちでもいつ起こるか分かりません。今回の特集では、災害派遣に参加した職員が被災地で感じた思いから、私たちはどんな備えが必要なのか、一緒に考えたいと思います。

■元日の家族だんらんを襲った震度7の大地震
内子町からは1月29日~5月1日までの期間中に、8人の職員が石川県輪島市に災害支援へ向かいました。職員は被災地でどんな光景を目の当たりにし、支援活動で何を思ったのか――写真とインタビューで伝えます。

◆被災地を離れても、心を寄せ続けたい
建設デザイン課 上下水道対策班
山田琉聖(りゅうせい)さん
派遣期間:3月11日~3月20日

大きく波打つ道路、ぺしゃんこになった家や車、焼け野原になったまち――。被災地で目にした光景は、あまりにもショックで言葉を失いました。一瞬で日常を奪われた人たちの気持ちを想像すると胸が痛かったです。
私が向かった支援先は約40人が避難する公民館。10日間の支援活動では、避難者の皆さんと話す機会も多くありました。会話の中では「家がつぶれた」「火事で友達を失った」という、つらい胸の内を聞いたこともあります。避難者の皆さんは、一人では耐えられないような痛みや不安を抱えながら、それでも互いに助け合い前を向こうとしていました。その姿を見て、少しでも役に立ちたい、どうしたら力になれるのか考えながら支援を続けました。
避難者の一人とは今も連絡を取り合っていて、少しずつ復興が進んでいることを教えてくれます。4月に内子町で大きな地震があったときには「大丈夫?」と連絡をくれました。誰かを心配する余裕もないくらい大変なはずなのに――。私を気遣ってくれる気持ちがうれしかったです。心を寄せてもらうだけで励まされることを知りました。またいつか輪島市へ行って笑顔で再会できる日を願い、私も遠く離れていても心を寄せ続けたいです。

◆支援活動の経験をまちの防災力に――
総務課 危機管理班
林隆太郎(りゅうたろう)さん
派遣期間:1月29日~2月7日

輪島市に到着したのは発災の1カ月後。支援活動をした避難所には、約150人が生活していました。支援物資は十分にあり、電気も復旧していましたが、水道は使えず、特にトイレが不便。個人のスペースは畳一枚ほどしかありません。しんどい避難生活にみんなが疲れ切った表情をしていました。
また別のところでは小規模で普段からつながりのある人たちが多く集まる避難所がありました。自分たちでも運営に関わり、掲示板に励ましの言葉が書かれていたり、つらそうな人がいたら声をかけたりと、少しでも心和らぐ場所にしたいという思いが伝わってきました。困難な状況で人の心を救うのは、人の温かさだと感じました。普段からの近所の人との交流は災害時に支えなることも学びました。
家に帰り、妻と娘に「おかえり」と言われた時は涙が出そうになりました。大切な人が生きていること、水が使えること――。当たり前と思っていた日常に感謝したいです。被災地では今も避難生活を続ける人たちがたくさんいます。この地震の記憶を忘れないこと、痛ましい災害が繰り返されないよう備えることが、被災地のためにもなると信じ、支援活動で感じたことを身近な人やまちの人たちに伝えたいです。

◆義援金箱を設置しています
集めた義援金は日本赤十字社を通じて、被災地の皆さんの支援に役立てられます。皆さんのご協力をお願いします。
設置場所:役場本庁、内子分庁、小田支所、各自治センター
受付期限:12月27日(金)

※詳細は本紙をご覧ください。

■いつも備える もし今揺れたら、あなたの家は大丈夫?
南海トラフで今後30年以内にマグニチュード8~9級の地震が発生する確率は、80%程度といわれています。大地震が起こったとき、あなたの家は揺れに耐えることができますか。まずは家の安全対策に目を向けてみてください。

◆能登半島地震では多くの命が家屋倒壊の犠牲に
能登半島地震では、多くの人が倒壊した家屋の下敷きになり、命を落としました。被害の大きかった地域は、高齢化率が高く、耐震化が進んでいない古い木造住宅が多かったそうです。激しい地震の揺れに耐えられず、倒壊が相次ぎました。

◆内子町で大地震が起きたら6050棟が全壊・半壊
内子町にある木造住宅のうち半分以上にあたる約5700戸は、昭和56年以前に建築され、現在の耐震基準を満たしていません。「南海トラフ巨大地震」が発生した場合、愛媛県を最大震度7の揺れが襲うと予想されており、内子町では1863棟が全壊、4187棟が半壊すると予測されています(「内子町地域防災計画」より)。

◆町の補助制度を活用してほしい
建物の倒壊は住む人の命を奪うだけでなく、火事などの2次災害の原因にもなります。内子町では地震対策の補助をしており、7・8ページで紹介しています。自分や家族の命、地域を守るためにも、まずは耐震診断を受けることから始めてみませんか。

◆耐震診断を受けた人にインタビュー
○自分を守れるのは自分自身
土居由紀子(ゆきこ)さん(72)[福岡]
町外で暮らす娘が私を心配し、家の耐震診断を役場に申し込んでくれました。4月に起きた地震は本当に怖くて、心細かったです。いざというときに安心できる場所が必要だと感じました。家全体の工事には大きな費用がかかるので、寝室だけでも耐震しようと「耐震シェルター」を希望しています。家にいる時に揺れたら、すぐ寝室に駆け込むつもりです。「あの時、準備していたら」と後悔しないよう、娘のためにも今できる対策をしたいです。

○もしものときに家を頼れる場所にしたい
阿部健雄(たてお)さん(83)[石畳8]
私と妻が住む家は築150年以上。修繕しながら代々、大事に住んできました。能登半島地震の報道を見て、自分の家が心配になりました。家が崩れたら難儀でたまりません――。高齢なので逃げ遅れないか、命が助かっても避難所での生活に耐えられるのか、不安です。生まれてからずっとこの家に住んできたから、愛着のある石畳で最後まで妻と一緒に生きていきたい。もし被災しても家が無事ならここで生活できるので、耐震工事を前向きに考えています。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU