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〔特集〕内子座の明日(1)

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愛媛県内子町

9月から保存修理工事に入る内子座。工事が始まればおよそ4年間は休館します。町民によって建てられ、使い続けられてきたまちのシンボル。舞台はしばらく見られなくなりますが、皆さんにとってその存在を見つめ直す機会にもなっているようです。
今回の特集では、まちの皆さんの内子座への思いを集めました。内子座を未来につなぐ意義を一緒に考えます。

■今日まで続く内子座を残すため――
内子座が私たちの町に誕生して108年、今まで内子座がどんなふうに続いてきたのか、歴史を振り返りたいと思います。休館中も楽しい企画も開催します。その第1弾として行う「内子座記念撮影会」。撮影を担当した写真家・浅田政志(まさし)さんに話を聞きました。

◆町民に愛される生きた芝居小屋
内子座が誕生したのは大正5年(1916年)、大正天皇の即位を祝い創建されました。地元の有力者や商店主たち17人が発起人となり、大正4年に建設に着手。7000円の資金をかけて翌5年2月21日に落成し、人形浄瑠璃の淡路・吉田傳次郎(でんじろう)を迎えてこけら落としが行われました。
昭和初期まで内子座は、歌舞伎や文楽、活動写真などさまざまな興行が行われ、たくさんの人たちを楽しませてきました。しかし時代の変遷とともに映画の人気が高まり、昭和25年(1950年)頃、内部を映画館の仕様に一部改造。昭和42年(1967年)には内山商工会に売却されました。昭和50年頃には老朽化により取り壊しの声もありましたが、昭和60年(1985年)に復元し、往時の輝きを取り戻しました。劇場として必要な備品は、町の人々からの寄付・約800万円で整備。それ以来、数々の公演や活動が行われています。内子座は町の人たちに今も愛され続ける芝居小屋です。

◆地盤調査を終えて――保存修理の内容
令和2年度から3年かけて行った工事では、地盤調査などを実施。大正5年に建築された建物ではありますが、昭和60年に復元工事が行われており、思ったより傷みは少なく地盤もしっかりしていることが分かりました。
今年度から行われる保存修理では、内子座内部の空間を損なわないよう、耐震補強工事を実施します。劣化が激しい屋根瓦のふき替えや、柱・壁などの破損箇所の修理に加え、新たに屋外消火栓を整備して火災への備えを充実させます。また、空調環境を改善し、夏や冬も活用しやすいように整備していきます。

◆保存修理中も楽しめる企画を開催
保存修理期間中は内子座を休館します。シートで覆われて見えなくなりますが、工事の進捗と合わせて見学会を企画しています。普段は入れない楽屋を10月5日から公開し、内子座や保存修理の内容について情報発信していく予定です。その第一弾として、浅田政志さんが撮影した「内子座記念撮影会」の企画展を開催します。詳しくは決まり次第、広報紙などでお知らせします。

◆写真というカタチで残す内子座の魅力と人の思い
写真家 浅田政志さん
内子の皆さんとの撮影会はとても楽しかったです。一緒に話しながらポーズを決めたり、アイデアを出し合ったりと、みんなで作り上げたことで、想像以上にすてきな写真になりました。
撮影で感じたのは、皆さんの内子座への熱量です。この場所が生きがいや喜びにつながっていることが伝わってきました。内子座が今も輝いて見えるのは、関わる人たちが生き生きと活動しているからだと思います。写真でカタチに残すことで、内子座への思いや愛情も思い出として残っていくことを願っています。写真展では作品を楽しんでもらいながら、改修後の内子座の未来にも思いをはせてもらえるとうれしいです。内子の皆さん、ぜひ足を運んでみてください。

○浅田政志さん—profile—
写真家。1979年三重県生まれ。日本写真映像専門学校研究科を卒業後、スタジオアシスタントを経て独立。第34回木村伊兵衛写真賞の受賞をはじめ、三重県立美術館での個展開催や、2023年度後期放送のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』でメインビジュアルの撮影を担当するなど活躍している。

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