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INTERVIEW 作家・演出家・映画監督 鴻上尚史(KOKAMI SHOJI)(2)

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愛媛県四国中央市

■猿田小学校
・昭和54年に閉校した猿田小学校。写真右下に見える教員宿舎に5歳の鴻上尚史さんは、両親と住んでいた。
・かつて小学校があった跡には、石碑が建てられている。
・鴻上少年が溺れた池は、今も澄んだ水が流れている。
※詳しくは本紙をご覧ください。

■川之江高校演劇部
▽V1 平成12年
平成12年の全国高等学校総合文化祭・演劇部門で日本一の栄冠に輝いた川之江高校演劇部

▽V2 平成13年
翌年は、大会史上初となる2年連続の最優秀賞を受賞。川之江高校演劇部の名は、一躍全国区となった。

◆第2幕 エピソード(2) 再会(36歳)
▽川之江高校演劇部との縁、そして偉業へ
そして時は流れ、36歳のとき、劇作家・演出家としても名を馳せていた鴻上さんの下に、地元・愛媛県で初開催となる全国高等学校総合文化祭・演劇部門の審査員として依頼が舞い込んだ。
本来であれば、中四国ブロックを勝ち抜いた作品が出場できる同大会だが、愛媛県で開催されるとあって「主催地枠」として地元で出場できる高校が愛媛県に1校だけ与えられた。

このとき、愛媛県代表として出場したのは、「川之江高校演劇部」であった。

「この年まで、愛媛県の高校生は演劇文化交流が禁止されていたから、厳しい地方大会を勝ち抜き続けた他の高校と比べると、地元高校の作品は、少年野球がプロ野球の中でプレーしているようなものだったよ」と、鴻上さんは演劇の世界を分かりやすい例えを用いて評価した。
「終演後、僕は顧問の先生や生徒たちに、少しでも良くなって欲しいと思って、細かく、丁寧にアドバイスをしたんだけど、その6年後に川之江高校が全国優勝、翌年は前人未到の2連覇達成を果たしたことは、奇跡に近い出来事で、本当にうれしかったね。
だって、高校の演劇部は全国約2000校もの学校が頂点を目指し、頑張っているからね。高校球児の憧れの甲子園だって、全国約3500校の高校だから、決して少ない数じゃないんだよね。
だからこそ、全国大会出場の常連校や優勝校は、演劇の世界を目指す高校生が全国から自然と集まるぐらい地元は評価しても良いと思うよ。
そして、まちには1000~2000人規模の劇場ではなく、集客しやすい300人規模の小さな劇場があれば良いね。そうすれば、背伸びをせず演劇に取り組めるから、ますます演劇が盛んになるし、演劇以外にも音楽やカラオケなど、いろんな文化やコミュニティも生まれ、まちが笑顔で明るくなると思うなあ」と、川之江高校が成し遂げた偉業を讃えつつ、地域の活性化に温かなアドバイスと期待を寄せた。

◆終幕 エピローグ 若者たちへ(65歳)
▽自分が輝くことのできる場所を
東京で活躍する鴻上さんは、これから社会を支える若者や地域の活性化について、こう話してくれた。
「四国は、大阪や九州と比べると人口や産業などのデータはどうしても見劣りしてしまう。
だからと言って、若者が夢を叶えるためにと上京しても夢を叶えることのできる人間は少ない。実際、演劇を目指す若者は多いけれど99%の人間がプロになれない厳しい世界。それでも、若者は、一度故郷を離れて生活すると良いと思う。
それは、普段、自分が気付かなかった故郷の良さや財産に気付くことができるから…。自分が輝くためにも、客観的に故郷を見つめ、離れなければ分からなかったこと、当たり前だと思っていたことを知り、選択すれば良いと思うね」と…。

FIN

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