■石庖丁(いしぼうちょう)ってナンだ!?
小学校の教科書にも載っている「石庖丁」。なんとなく知っている?
今回は、弥生時代に使われた「石庖丁」について掘り下げてみましょう。
▽誤ツテ用途ヲ推定ス
「石庖丁」は、教科書や辞書には「稲の収穫具」とか、「穂摘具(ほづみぐ)」として説明されています。
明治時代の考古学者は、ツンドラ地帯に住む先住民族の調理用ナイフと似ていることから、この石器を「石庖丁」と呼びました。
本来の使い方を誤って認識したこの名称は、専門用語として定着し、現在に至っています。
▽稲を収穫する
「石庖丁」の本来の使い方である穂摘みという稲の収穫方法は現在の日本であまり見かけることはありません。
この「穂摘み」は、どのような収穫方法なのでしょうか。
▽「石庖丁」ってナンだ!?
良く知られている「石庖丁」は、磨製石庖丁で、長辺の一方に刃を設けています。
この刃の部分を稲などの穂に当てて、実った穂の部分だけを摘み取るための道具といわれています。
根元から刈り取る現在の収穫方法とは異なった方法で、考え方によっては、より効率的な方法ともいえます。
▽稲穂を摘む
実は、四国中央市で、このような良く知られている形の石庖丁は出土していません。代わりに、薄く割られた石材に刃を付けただけの簡易なものが出土しています。
山陰地域などでは、穂摘み具を木製品に置き換えた「木庖丁」と呼ばれるものも見つかっており、このような簡易なものでも十分に収穫ができたことが分かります。
▽四国中央市 平坂II遺跡出土 結晶片岩製 打製石庖丁
四国中央市教育委員会蔵
四国中央市土居町から出土した石庖丁。
薄く剥がれた石材をそのまま利用し、左右の「抉(えぐ)り」をつけたもの。必要最小限の加工ともいえる。
▽今治市 阿方遺跡出土 サヌカイト製 打製石庖丁
愛媛県教育委員会蔵
サヌカイト(讃岐岩)で作られた打製の石庖丁。
落下防止の紐は、左右の穴の「抉(えぐ)り」に引っ掛けていたと考えられる。
▽松山市 土居窪遺跡出土 結晶片岩製 磨製石庖丁
愛媛県教育委員会蔵
平面半月形をした、教科書的な石庖丁。
手のひらに収まるサイズで、2箇所の穴は、作業中の落下を防ぐ紐通しと考えられる。
問合せ:文化・スポーツ振興課
【電話】28-6043
■博物館では「考古資料のトリセツ」と題し、いろいろな出土品の使い方を紹介
歴史考古博物館-高原ミュージアム-
考古資料のトリセツ
企画展:くらしの道具、どう使う?
4/14(日)まで開催中 (¥0 FREE)
▽ワークショップ 30分程度
3/16(土)10:00~ 石庖丁
3/23(土)10:00~ 石斧
3/30(土)10:00~ 紡錘車(ぼうすいしゃ)
出土資料の使い方を探る考古学のトビラ展
問合せ:歴史考古博物館(川之江町)
【電話】28-6260
(休館日)月曜日・3/21(木)
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